日本大百科全書(ニッポニカ) 「RSMC」の意味・わかりやすい解説
RSMC
あーるえすえむしー
地域特別気象中枢Regional Special Meteorological Centreの略。気象データの解析・予報資料の作成や提供を行うため、世界気象機関(WMO)が構築する地球規模データ処理システムのネットワークの一つ。WMOの全球データ処理・予報システム(GDPFS:Global Data Processing and Forecasting System)は、解析・予報や通信の世界的拠点となるワシントン(アメリカ)、モスクワ(ロシア)、メルボルン(オーストラリア)の三つの世界気象中枢(WMC:World Meteorological Centre)、担当する地域内の気象機関を支援するRSMC、それぞれの国の国家気象中枢(NMC:National Meteorological Centre)から構成されている。以前は、WMCとNMCの間に地域気象中枢(RMC:Regional Meteorological Centre)があったが、1980年代後半に活動強化が図られ、機能の統合や付加を経て、RSMCとなった。
日本の気象庁は、東アジア各国を対象とした気象観測データの解析、解析・予報情報の作成・提供を行うRSMCを1968年(昭和43)から担当している。また、そのほか、「環境緊急対応のための地域特別気象センター」(アジアを対象として、原子力発電所の事故発生時などに要請に応じ、大気中に放出された有害物質の拡散予測資料の提供などを行う)、「太平洋台風センターRSMC Tokyo Typhoon Center」(東アジアや北西太平洋域における熱帯低気圧の解析および予報に関する情報の関係各国気象機関への提供を行うなど、関係各国の台風監視業務の改善に協力する)などの中枢機能を担っている。
[饒村 曜]