広義には熱帯地方で発生する低気圧。狭義には最大風速が風力7以下の熱帯地方で発生する低気圧。最大風速が風力8以上(毎秒17.2メートル以上)の熱帯低気圧を日本では台風という。1952年(昭和27)以前は熱帯性低気圧と性の字を入れ、「弱い熱帯性低気圧」「強い熱帯性低気圧」「台風」と分けていたが、1953年からは、「強い熱帯性低気圧」「台風」を「台風」に、「弱い熱帯性低気圧」を「弱い熱帯低気圧」とした。1999年(平成11)8月14日に神奈川県玄倉(くろくら)川で水難事故が発生すると、「弱い」ということばが「大した影響がない」と誤解されるので防災上好ましくないとの指摘があり、気象庁は2000年(平成12)6月から「弱い熱帯低気圧」を「熱帯低気圧」へと表現を変えた。また同時に、台風の強さの「弱い」「並の強さ」、台風の大きさの「ごく小さい」「小型」「中型」の表現を廃止した。
熱帯低気圧は温帯低気圧に比べ、
(1)等圧線が円形
(2)前線を伴わない
(3)エネルギーが主として水蒸気の潜熱であるため発生・発達が熱帯の海洋上である
(4)直径は数百キロメートル程度とわりあい小さいが中心気圧は900ヘクトパスカル以下になることがある
(5)中心付近ではとくに風が強い
(6)中心部に目がある
などの特徴がある。最大風速によって分類され、このうちとくに強い風(風力12)を伴う熱帯低気圧は、発生地域によって、たとえば北太平洋西部ではタイフーン、インド洋ではサイクロン、大西洋および北太平洋東部ではハリケーンというように名称が異なる。風力8以上の熱帯低気圧は世界中で1年間に80~90個発生しているが、このうち約3割が台風である。
[饒村 曜]
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…この経験則は考案者の名をとってボイス・バロットの法則として知られている。(3)台風 熱帯地方で発生する低気圧を熱帯低気圧tropical cycloneというが,このうちで域内の最大風速が17m/s以上のものを台風と呼んでいる。台風域内の風速分布は図14に示すように,台風の中心付近でV/R=一定(Vは風速,Rは中心からの距離),その外域でVR=一定のランキンの複合渦となっていると考えてよいであろう。…
…北太平洋西部(北半球の東経180゜以西の太平洋)や南シナ海に現れる熱帯低気圧のうち,最大風速が17.2m/s以上になったものをいい,台風の強さに達しない熱帯低気圧を〈弱い熱帯低気圧〉と呼ぶ。 台風は空気の巨大な渦である。…
…今日では気象衛星を使って大気圏の外から,低気圧に伴う雲,つまり低気圧の外観をとらえることができる。 低気圧は温帯から極の間にできる温帯低気圧と熱帯地方にできる熱帯低気圧に分類されている。これは単に発生域の地理的な違いだけでなく,その構造,成因も異なるからである。…
※「熱帯低気圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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