国連の専門機関の一つ。略称WMO。2011年時点で、183か国と6領域が構成員として加盟している。気象には国境がないので、気象観測事業に国際協力は欠かせない。WMOの芽は、1853年にベルギーのブリュッセルで開かれた海上気象会議であり、その後の1873年にオーストリアのウィーンで開かれた国際気象会議は、WMOの前身であるIMO(International Meteorological Organizationの略。国際気象機関)の始まりであった。WMO条約は1950年に発効し、日本は1953年(昭和28)に加盟した。WMOの目的は、
(1)気象観測網の確立、気象中枢の確立と維持についての国際協力の助長
(2)気象情報の迅速な交換のための組織の確立と助長
(3)気象観測の標準化と公表
(4)人間活動に対する気象学の応用
(5)気象の教育と研究
などである。
WMOの組織は、最高決議機関が4年に1回開催される世界気象会議で、その下に執行理事会、専門委員会、地区気象協会、事務局がある。主要活動として世界気象監視(WWW)、世界気候計画(WCP)、大気研究・環境計画(AREP)などがある。WWWにおいては、気象データの解析・予報資料の作成や提供を行うため、世界的拠点となるワシントン、モスクワ、メルボルンの三つの世界気象中枢(WMC)と、それぞれの国の国家気象中枢(NMC)の間に、担当する地域内の気象機関を支援する地域特別気象中枢(RSMC)がつくられている。
[安田敏明・饒村 曜]
『気象庁編『地球温暖化監視レポート1992 地球温暖化にかかわる温室効果気体と気候変動の動向及びオゾン層の状況について』(1993・大蔵省印刷局)』▽『大芝亮監修『21世紀をつくる国際組織事典5 環境にかかわる国際組織』(2003・岩崎書店)』▽『気象庁編『気象業務はいま』(2010・研精堂印刷)』
国際連合に所属する専門機関の一つで,世界各国の気象業務の連携,標準化を図るための組織。事務局はスイスのジュネーブにある。通称WMO。1873年に世界の主要海運国の気象台長が中心となって国際気象機関(IMO)が結成され,1951年に発展的解消をとげてWMOが設立された。2005年現在187の国および地域が加盟している。WMOの目的は,気象事業と水文事業の観測網を全世界に展開するため国際協力を進め,気象とそれに関連した情報を急速に交換し,気象とそれに関連した観測を標準化し,その成果と統計結果を同じ形式で公表し,気象を航空,船舶,水資源,農業などの人間活動に応用し,水文業務を活発化して気象業務と水文業務のいっそうの協力関係を進め,気象とそれに関連した分野の研究・研修を奨励することにある。この目的を達成するためおもな事業として,発展途上国気象台との技術協力,世界気象監視計画の推進,各種セミナーやシンポジウム,ワークショップの開催,研修制度の拡充,地球大気開発計画や世界気候計画など国際共同観測事業への参加,各種気象業務指針や技術報告,技術規則などの刊行を行っている。WMOの最高決議機関は世界気象会議で,4年に1回開催され,原則としてすべての加盟国が参加する。それを補うものとして執行委員会があって,毎年1回,WMOの事業の具体的方針を決めたり予算計画を施行するため開催される。執行委員は個人の資格で選出される。WMOの地区別の諸問題に対処するため六つの地区委員会がある。すなわち,第Ⅰ地区アフリカ,第Ⅱ地区アジア,第Ⅲ地区南米,第Ⅳ地区北・中米,第Ⅴ地区南西太平洋,第Ⅵ地区ヨーロッパである。WMOの事業に関連した技術的諸問題を解決し実施に移すため,八つの技術専門委員会がある。すなわち,航空気象(CAeM),農業気象(CAgM),大気科学(CAS),基礎組織(CBS),気候と応用気象(CCAM),水文(CHy),測器と観測法(CIMO),海洋気象(CMM)である。
執筆者:新田 尚
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(饒村曜 和歌山気象台長 / 2008年)
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