日本大百科全書(ニッポニカ) 「CATV広告」の意味・わかりやすい解説
CATV広告
しーえーてぃーぶいこうこく
CATVで放送されるコマーシャル・メッセージ(CM)をCATV広告という。CATVは、cable televisionあるいはcommunity antenna televisionの略で、有線テレビジョン放送のことである。一般のテレビ放送が空中波を使うのに対し、電波によらず同軸ケーブルで各戸を結び、テレビ放送を行う施設である。
わが国のCATVは、もともと、地形上テレビ放送の見にくい地域や、大都市でビルの陰になった難視聴地区を解消するため、発足した。しかし、自主放送番組や双方向通信をはじめ、有線の特性を生かした高度で多目的な利用方法はすでに開発されており、初めから多チャンネルを目的とした都市型CATVとして地域社会の新しい情報メディアとして脚光を浴びていたが、BS、CS放送といった衛星放送メディアの台頭も加わり、本格的な発展への重要な段階を迎えているといえそうだ。一方で、わが国のCATVの経営は、基本的には利用料収入に依存しており、広告媒体としての評価は、それが定着しているアメリカに比べれば低い。しかし、長い時間のCM枠での十分な説明力が視聴者に認められており、インフォマーシャル(情報量の多いコマーシャル)の利用も多く、電話とコンピュータを組み合わせた双方向CATVの広告も行われている。地域に根ざした企業や自治体などが、おもな広告主となっている。
また、衛星放送番組の提供サービス、インターネットの接続サービス、CATV電話などの新しい業務が次々と加わり、CATVの加入者は、1990年代に入って急速な増加をみせ、自主放送を行うCATVの受信契約者数は、2000年(平成12)3月末で949万世帯(郵政省調べ)となっている。なお、CS放送、BS放送、地上波放送のデジタル化に合わせて、2010年にはすべてのCATVもデジタル化され、難視聴地区解消の役割が終了するという計画がある。そうするとケーブルテレビ局間のネットワーク化が完成し、CATVは広告媒体としての活用の広がりをみせ、広告手法の開発も進むと思われる。
[伊藤誠二]