日本大百科全書(ニッポニカ) 「DEレシオ」の意味・わかりやすい解説
DEレシオ
でぃーいーれしお
Debt Equity Ratio
企業の健全性を示す財務指標。金利を支払う必要のある借金(有利子負債、Debt)が自己資本(Equity)の何倍あるかを示す。英語の頭文字をとってDEレシオとよばれる。有利子負債を自己資本で割って計算するので、D/Eレシオと表記されるほか、日本では負債資本倍率ともいう。数値が低いほど借入金への依存度が低く、財務の健全性が高いことを意味する。一方で、この数値を低くしすぎて安全性を高めすぎると、リスクをとらずに内部留保ばかりが積みあがり、成長性が損なわれることがある。このため通常は、1倍をやや下回る程度が、財務が安定しており、健全性が高い目安であるとされる。DEレシオは社債の格付けなどにおいて重要視され、有利子負債の多い建設業、石油関連業などを中心に経営目標に掲げる企業が多い。借入金が多い企業の場合、利益を積み上げて内部留保(自己資本)を厚くしたり、有利子負債を削減したりして、DEレシオを改善する手法をとる。
DEレシオは「返済義務のある有利子負債は、返済義務のない自己資本でまかなうことが望ましい」との考え方に基づく指標で、長期の借入れの支払い能力を示す。通常、有利子負債には、短期借入金、長期借入金のほか普通社債、転換社債(新株予約権付社債)などが該当する。より有利子負債を厳密にみるため、有利子負債から現預金を差し引いたネット有利子負債(純有利子負債)を用いて、実質に近い返済能力を計算する場合があり、これを「ネットDEレシオ」「実質DEレシオ」という。これに対し、現預金を差し引かない有利子負債を計算に使う場合は、「名目DEレシオ」、あるいは単にDEレシオとよぶ。
[矢野 武 2016年3月18日]