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内部留保 ないぶりゅうほ

知恵蔵の解説

内部留保

企業の純利益から、税金配当金役員賞与などの社外流出分を差し引いた残りで、「社内留保」ともいう。ひらたく言えば「企業の儲けの蓄え」のことだが、会計上は「利益準備金」「任意積立金」「繰越利益剰余金」などの項目で、貸借対照表の純資産の部に計上される。これまで外需拡大の恩恵に浴してきた日本企業、とりわけ輸出型製造業の内部留保は、欧米の企業に比べてきわめて厚いと指摘されている。実際、製造業大手2200社の利益剰余金は約72兆円(2007年)で、景気低迷期(02年)の55兆円から大幅に増加。一方、従業員の給与は22兆円から21兆円へとダウンしている。このため、景気後退局面に入った頃から、企業が抱える巨額の内部留保を労働者に還元すべきという論調が見られるようになった。当初は共産党や労組が主張していたが、雇用不安が深刻になった08年末~09年にかけて、政府閣僚からも同調する声が相次ぎ、雇用維持の財源として論じられるようになった。なお、企業は内部留保のすべてを現金(手元資金)として保有しているわけではない。本来、内部留保は設備拡充や技術開発などの再投資に回される性格のもので、12兆6千億円の連結利益剰余金をもつトヨタもその多くを設備増強に投じており、現預金は6分の1程度しか残っていない(08年9月末時点)。通常、企業が銀行から融資を受ける際には内部留保の厚みが重視される。戦後最悪と言われる不況下において、手元資金の枯渇や財務悪化による経営破綻(はたん)を恐れる企業が増えており、内部留保を雇用維持の財源に充てることには消極的と見られる。

(大迫秀樹 フリー編集者 / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

ないぶ‐りゅうほ〔‐リウホ〕【内部留保】

企業の利益金額から配当金・租税などの社外流出分を除いた部分を社内に留保すること。また、その金額。法律で定められた利益準備金と、企業の自由意思による任意積立金などがある。社内留保。

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百科事典マイペディアの解説

内部留保【ないぶりゅうほ】

企業の純利益から税金,配当金,役員賞与などを差し引いた残額で,企業内部に留保されたもの。会社の場合は社内留保ともいい,株主総会議決を経て利益準備金任意積立金などとして社内に積み立てられる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

株式公開用語辞典の解説

内部留保

今期の税引利益から、税金、配当金、役員賞与など社外に払い出される分を差し引いた、残りの部分のこと。企業内に留保され再投資される。内部留保には、商法によって積み立てることが決められている「利益準備金」、企業の判断によって積み立てられる任意積立金のほか、未処分の利益もある。

出典 株式公開支援専門会社(株)イーコンサルタント株式公開用語辞典について 情報

ナビゲート ビジネス基本用語集の解説

内部留保

決算上の当期利益から、社外に流出する費用(役員賞与、税金、配当金など)を差し引いて社内に残った金額。積立金や準備金、繰り越し金として蓄積される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

内部留保
ないぶりゅうほ

社内留保」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

内部留保
ないぶりゅうほ
earning retention

企業が獲得した利益のうち企業外へ分配することなく、企業内に留保した部分。社内留保ともいう。内部留保が行われる理由は、(1)外部へ分配した資金を株式発行等により再吸引するより直接再投資するほうが資本コストが安い、(2)配当平均化、(3)利益額に対応した外部分配のための資金を一度に準備することは容易でない、(4)法的に強制される場合がある、などである。通常、内部留保分は、利益準備金、配当平均積立金、退職給与積立金、事業拡張積立金、別途積立金などの名称で、貸借対照表貸方に計上される。会社法は、金銭による利益配当額の10分の1以上を積立金に計上しなければならないとしている(445条4項)。これが利益準備金であり、法定積立金である。その他のものは任意積立金と総称される。なお内部留保は、以上の公示積立金以外に秘密積立金によっても可能である。[森本三男]

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世界大百科事典内の内部留保の言及

【社内留保】より

…企業が稼得した処分可能な純利益のうち,社外に分配せずに企業内に留保したもの,または留保行為そのものをいう。内部留保,利益留保ともいう。企業は稼得した純利益額をふまえて,その処分方途をいろいろな角度から検討し,決定する。…

【内部金融・外部金融】より

…また,内部金融,外部金融によって調達された資金をそれぞれ内部資金,外部資金と呼ぶことがある。企業の資金調達方式についてみると,内部金融に属するものとしては,企業内部に留保され蓄積された利益である内部留保(社内留保とも呼ぶ)を用いる方法と,減価償却積立金を設備資金や運転資金などに用いる方法とが代表的である。これに対し,企業の外部金融の例としては,金融機関からの借入金,株式・社債の発行,企業間信用(売掛金,買掛金)などによる方法がある。…

※「内部留保」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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