GIGAスクール構想(読み)ぎがすくーるこうそう

共同通信ニュース用語解説 「GIGAスクール構想」の解説

GIGAスクール構想

全国の小中学校で児童生徒に1人1台のタブレット端末パソコンを配り、高速通信環境を整備する計画で、文部科学省が2019年に打ち出した。GIGAは「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童生徒のための世界につながる革新的な扉)」の略。新型コロナウイルス流行休校が長期化するなどし、遠隔授業の必要性が増し配備が加速した。22年3月までにほぼ全ての自治体で配備を終了した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「GIGAスクール構想」の意味・わかりやすい解説

GIGAスクール構想
ぎがすくーるこうそう

文部科学省が発表した計画で、小中学生がICT(情報通信技術)を使いこなせるように教育環境を整えることを目的とする。GIGAはGlobal and Innovation Gateway for Allの略で、すべての子供が個々適性にあわせて国際舞台と革新的創造の扉を開けられる環境を整える、との意味が込められている。すべての児童・生徒へのパソコンやタブレットなどの学習用端末の配備や高速ネットワーク環境(校内LAN)の整備といったハード施策と、優良なICT活用例の普及といったソフト施策の両面から、習熟度にあった学習環境を整え、子供たちの情報活用能力をはぐくむねらいがある。文部科学省が2019年(令和1)に打ち出し、2023年度末までの5か年計画としていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行を受け、1人1台配備計画の2020年度末への3年前倒しや、家庭でのオンライン学習環境の整備などの追加策がとられた。総事業費は約4300億円。

 OECD(経済協力開発機構)の2018年調査では、日本の学校でのデジタル機器の利用時間は加盟31か国中最下位であった。2019年3月時点で日本の普通教室の無線LAN整備率は41%にとどまり、学習端末の整備状況も佐賀県の1.8人に1台から愛知県の7.5人に1台まで、地域でばらつきがあり、日本の学校のICT環境は大きく後れをとっている。このため日本政府は2019年度補正予算で2318億円を投じて全国一律のGIGAスクール構想を始動。学習用端末の1人1台配備(パソコン1台当り4万5000円補助)や校内ネットワーク整備のほかデジタル教科書・教材の導入、カメラ・マイクなどの整備、モバイルルーターの貸出し、クラウド活用の推進、双方向授業の促進、ICT支援者や技術者の学校・自治体への派遣、ICT活用事例冊子の配布、関連イベントの開催などの対策に取り組んでいる。

[矢野 武 2021年2月17日]

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知恵蔵mini 「GIGAスクール構想」の解説

GIGAスクール構想

文部科学省が2019年12月に打ち出した政策で、小・中学校の児童・生徒1人あたり1台のパソコンを配布し、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備する計画。これにより、デジタル教科書や動画など様々なツールを活用できるようにして教育方法改革を進める狙い。英語の授業を例にとれば、生徒が端末に向かって読み上げた英文を音声認識システムでチェックしたり、端末から提出した宿題を教員がオンラインで採点・返却したり、ネットワーク上の共有スペースで生徒同士が自宅などにいながら共同作業をしたりすることも可能となる。文科省は当初、23年度までに端末の配布を終える予定だったが、20年に新型コロナウイルスの感染拡大で休校要請を行ったことからオンライン学習の環境整備が急務となり、予定を同年度中に前倒しした。家庭で学校からの遠隔学習を円滑に受けられるようにするため、カメラやマイクなどの周辺機器の整備補助や、通信環境が整わない家庭への支援も行う。

(2021-1-07)

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