GIGAスクール構想(読み)ぎがすくーるこうそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「GIGAスクール構想」の意味・わかりやすい解説

GIGAスクール構想
ぎがすくーるこうそう

文部科学省が発表した計画で、小中学生がICT(情報通信技術)を使いこなせるように教育環境を整えることを目的とする。GIGAはGlobal and Innovation Gateway for Allの略で、すべての子供が個々適性にあわせて国際舞台と革新的創造の扉を開けられる環境を整える、との意味が込められている。すべての児童・生徒へのパソコンやタブレットなどの学習用端末の配備や高速ネットワーク環境(校内LAN)の整備といったハード施策と、優良なICT活用例の普及といったソフト施策の両面から、習熟度にあった学習環境を整え、子供たちの情報活用能力をはぐくむねらいがある。文部科学省が2019年(令和1)に打ち出し、2023年度末までの5か年計画としていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行を受け、1人1台配備計画の2020年度末への3年前倒しや、家庭でのオンライン学習環境の整備などの追加策がとられた。総事業費は約4300億円。

 OECD(経済協力開発機構)の2018年調査では、日本の学校でのデジタル機器の利用時間は加盟31か国中最下位であった。2019年3月時点で日本の普通教室の無線LAN整備率は41%にとどまり、学習端末の整備状況も佐賀県の1.8人に1台から愛知県の7.5人に1台まで、地域でばらつきがあり、日本の学校のICT環境は大きく後れをとっている。このため日本政府は2019年度補正予算で2318億円を投じて全国一律のGIGAスクール構想始動。学習用端末の1人1台配備(パソコン1台当り4万5000円補助)や校内ネットワーク整備のほかデジタル教科書教材の導入、カメラ・マイクなどの整備、モバイルルーターの貸出し、クラウド活用の推進、双方向授業の促進、ICT支援者や技術者の学校・自治体への派遣、ICT活用事例冊子の配布、関連イベントの開催などの対策に取り組んでいる。

[矢野 武 2021年2月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例