デジタル教科書(読み)でじたるきょうかしょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デジタル教科書」の意味・わかりやすい解説

デジタル教科書
でじたるきょうかしょ

電子書籍の形で提供される学習教材総称。高速ネットワーク環境とコンテンツ配信用のデータベース、情報端末とアプリケーションソフトウェアなどが使用される。電子教科書やデジタル教材ともいわれる。従来の紙に印刷された教科書を電子化して置き換えたものが原型となるが、あらゆるデジタル技術が活用され、文字、音声、映像、各種データを通じて知識を深めながら学習することが可能になる。また、遠隔地にいる児童生徒協働学習をしたり、他校の教師や地域の専門家と交流をもつといった応用が容易な環境が整えられる。さらに、児童・生徒が視覚聴覚などに障害をもつため紙の教科書が使いづらい場合に、文字の拡大や読み上げといった機能を利用し、学びやすくなる。このような機能によって学習の情報量を増やしながら、授業時間の有効な活用を図ることが可能となる。

 2020年度に小学校から順次実施される新しい学習指導要領では、学習の基盤となる資質・能力として初めて情報活用能力が規定された。文部科学省ではこの学習指導要領の全面実施にあわせ、学習用コンピュータやタブレット端末などで利用できるデジタル教科書を正式な教科書として本格的に導入するため、教科書が紙のものであることなどを定めた学校教育法を2018年(平成30)5月に改正(2019年4月1日施行予定)した。ただし改正法でも紙の教科書をおもな教材とし、必要に応じてデジタル教科書を併用できるとしている。また、紙の教科書を代替するものとして掲載された内容を権利者の許可を得ずにデジタル教科書に掲載できるようにするため、著作権出版権等にかかわる関連法もあわせて改正された。2018年7月時点でデジタル教科書は、紙の教科書と同じ内容であることが前提なので教科書検定は実施せず、希望する児童・生徒には有償で販売されることになっている。

[編集部 2018年9月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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