所得格差(読み)しょとくかくさ(英語表記)income differential

知恵蔵 「所得格差」の解説

所得格差

地域間、産業間、世代間、男女間などで生じている所得格差のこと。バブル期には土地や株式などの資産を「持てる者」と「持たざる者」の所得格差が話題になった。日本は戦後復興から高度成長期を経て、国民が「一億総中流」意識を持つようになり、諸外国に比べ比較的平等な社会が形成されてきたとされるが、自由経済社会を掲げる限り常に所得格差は存在する。近年、議論の対象とされ出した背景には、規制緩和が促され、さらに自由競争社会へと進むなか、「勝ち組・負け組」現象が現れるなど所得格差が拡大しているのではという問題意識が表面化したことがある。「機会は平等に与えられており、格差は能力や努力の結果であり仕方がない」「富裕層が一層富めば“富の再分配機能"を通じ貧困層の生活も底上げされる」などの格差拡大を容認する意見がある一方、「親の所得が学歴に影響し、学歴で雇用機会に差が生じる。機会平等社会ではない」「若年層での所得格差(フリーター・ニートと正社員など)は将来の社会秩序破壊を招く」と問題を重視したり、規制緩和・市場原理主義を推し進めた小泉路線が不平等社会(=所得格差拡大)を助長した、という政策批判もある。

(本庄真 大和総研監査役 / 2007年)


所得格差

所得や資産が平等に配分されていれば格差は小さく、偏りがあれば格差は大きい。格差を示す尺度として用いられるジニ係数は、分布集中度、あるいは不平等度を表し、0に近づくほど平等、1に近づくほど不平等となる。世帯主年齢階級別にジニ係数を見ると、年齢が高くなるにつれて上昇する傾向がある。

(上村協子 東京家政学院大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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