エトルリア語(読み)エトルリアご

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エトルリア語」の意味・わかりやすい解説

エトルリア語
エトルリアご
Etruscan language

前8世紀頃から4世紀までイタリア中部を中心として話されていた言語で,エトルスク語ともいう。話し手は,前6世紀頃にはローマ市をも支配下においたエトルリア人たちで,ギリシア文化を吸収し,ギリシア文字に似た文字をつくりだした。現在,前7世紀からアウグスツスの時代までの碑文が1万以上残っているが,いまだに完全には解読されていない。系統関係も未詳であるが,小アジアに近いリムノス島から出土した碑文がエトルリア語に近いこと,小アジアのリュディア語と多少共通点があることから,小アジアに起源を求めようとする説 (ブルガリアの V.ゲオルギエフら) が比較的有力である。イタリアの学者は土着起源説をとる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エトルリア語」の意味・わかりやすい解説

エトルリア語
えとるりあご

古代イタリアの北・中部で活躍した民族の言語。紀元前7世紀から前1世紀までおよそ1万のほとんどが墓碑銘からなる碑文と、ザグレブ博物館所蔵のミイラを巻いた麻布に書かれた約1500語からなる儀式的内容テクストが現存する。ギリシア文字に基づく独自のアルファベットで書かれているが、有力な二言語併用テクストに欠けることと、言語の系統が不確定なために、現在もなお完全な解読には成功していない。

[松本克己]

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