エンタングルメント(その他表記)entanglement

翻訳|entanglement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンタングルメント」の意味・わかりやすい解説

エンタングルメント
entanglement

量子力学において,複数の粒子が存在するとき,それらの位置やスピンなどの値は個別にではなくセットで指定しなければならず,しかも複数のセットが同時に共存しているという現象。量子からみ合い,量子もつれともいい,厳密には少し異なるが分離不能性ともいう。理論物理学者アルバート・アインシュタインらの量子力学に対する疑問,EPRパラドックスについての考察のなかで,理論物理学者エルウィン・シュレーディンガーが提唱した用語である。量子力学では,複数の粒子が空間的に離れて存在していても,過去にそれらが相互作用したことがあるならば,その性質を個別には決められない。このことを「局所実在性が成り立たない」と表現する。エンタングルメントは局所実在性の対義語である。古典力学では考えられない現象だが,ベルの不等式が実験で否定されたことで立証され,これにより EPRパラドックスが解決された。また,今日の量子情報理論や量子コンピュータの基礎となる性質でもある。状態の複数のセットが共存しているので,複数の計算を同じビットを使って同時に実行できることになり,従来のノイマン型コンピュータでは不可能な計算速度が実現できる可能性が指摘されている。量子力学の多世界解釈という考え方の根拠にもなっている。

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