ナビエ‐ストークス方程式(読み)なびえすとーくすほうていしき(その他表記)Navier-Stokes equations

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ナビエ‐ストークス方程式
なびえすとーくすほうていしき
Navier-Stokes equations

流体力学において、粘性による効果も取り入れた流体の運動を表す方程式。フランスのナビエにより導かれたもので、のちにイギリスのストークスによって正しい形に整えられた。ある時刻(t)でのある場所(xyz)の流体の速度をvvxvyvz)、流体の密度をρ、流体の圧力p、単位質量当りの外力をffxfyfz)、粘性率をμ(一定)、圧縮率をΘとすると

と表される。縮まない流体(非圧縮性流体)(Θ=0)の場合、この方程式は

と簡略になる。また、粘性率μ=0である場合、完全流体の運動方程式であるオイラー方程式になる。ナビエ‐ストークス方程式は非線形であるため、いくつかの特殊例を除いて厳密解がなく、線形近似により解くくふうがなされている。また、この方程式と流体の状態方程式pf(ρ)と連続の方程式∂ρ/∂t+∇・(ρv)=0を組合せ、適切な境界条件と初期条件により流体の運動を数値的に計算する試みが続いている。

[山本将史 2022年4月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ナビエ=ストークス方程式
ナビエ=ストークスほうていしき
Navier-Stokes equation

粘性流体に対する運動方程式。流体の速度ベクトルu ,圧力を p ,密度をρ,粘性率をμ(一定),体積粘性率をζ(一定),流体の単位質量あたりに働く外力ベクトルを K とすれば,粘性流体に対して次の運動方程式が成り立つ。
ただし,Δ≡div grad はラプラス演算子である。この方程式をそれぞれ独立に,ほぼ同時に導出したクロードルイマリ=アンリ・ナビエとジョージ・ガブリエル・ストークスにちなみ,ナビエ=ストークス方程式という。特に,非圧縮性流体の場合には,連続の方程式により divu=0 であるから,体積粘性率ζは運動に影響しなくなる。また,完全流体の場合には,μ=ζ=0 であるから,方程式はオイラーの運動方程式に帰着する。粘性流体においては,ナビエ=ストークス方程式を連続の方程式および流体の状態方程式 ρ=fp)と連立させて解けば,流体の運動が決定される。

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