物体に四方八方から一様に圧力を加えると、その体積が減少する。この性質を圧縮性といい、圧縮による物質の体積変化のしやすさを圧縮率で表す。すなわち、体積vの物体に圧力pを加えたとき、体積がΔvだけ減少するとすれば、圧縮率βは、
β=Δv/v・p
によって表される。
また圧縮率の逆数(v・p/Δv)を体積弾性率という。体積弾性率は弾性率の1種類である。物体を熱を通さない壁で囲んで圧縮すると、通常、物体の温度は上昇する。たとえば自転車ポンプで中の空気を圧縮すると温度が高くなる。このときの圧縮率を断熱圧縮率という。これに対し物体と周りとの熱の伝達をよくし、温度が一定に保たれるよう圧縮したときの圧縮率を等温圧縮率という。一般に等温圧縮率は断熱圧縮率より大きい。物質中を音波が伝わるのは物質が圧縮性をもっているためで、このときの圧縮率は断熱圧縮率である。
[和田八三久]
圧力pがdpだけ増加したときに,物体の体積VがdVだけ減少したとする.この変化のもとの体積に対する割合
κ = V -1(dv/dp)
を圧縮率という.圧力変化が等温過程で起こるときは等温圧縮率 κT,断熱過程で起こるときは断熱圧縮率 κS という.
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…体積弾性率が大きいほど,その物質はかたい。体積弾性率の逆数κ=1/Kを圧縮率compressibilityと呼ぶ。-⊿V/V=κpからわかるように,圧縮率は圧力を加えたときの体積の変化のしやすさを与える係数である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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