日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナビエ」の意味・わかりやすい解説
ナビエ
なびえ
Louis Marie Henri Navier
(1785―1836)
フランスの工学者。ディジョンに生まれる。パリのエコール・ポリテクニク(理工科大学校)を卒業したのち、土木技師となり、のち母校の教授(1830)となり、解析学、力学を教えた。当時フランスは産業革命の開始期にあり、工場、公共建物、道路、橋などの新しい建物や施設の建設が急速に進められるなかで、建築技術もまた新材料としての鋳鉄・ガラスの普及と機械の導入を軸にして大きく変わりつつあり、そのなかでナビエは専門的技術者の養成とともに、力学とその応用研究の発展に貢献した。力学とその実用に関する成果をまとめた講義録が出版されており、近代構造学の創始者といわれる。力学における最大の成果は、弾性理論の基礎方程式(ナビエの方程式)および流体力学の基礎方程式(ナビエ‐ストークスの運動方程式)の導出である。
[常盤野和男]