緑色片岩相(読み)りょくしょくへんがんそう(英語表記)greenschist facies

岩石学辞典 「緑色片岩相」の解説

緑色片岩相

緑色片岩相は低度の広域変成作用と変位変成作用の広い範囲を含んでいる.この変成相岩石は中圧から高圧で低温の条件で再構築されたもので,緑泥石緑簾石アクチノ閃石などの緑色鉱物を多量に含む特徴がある[Eskola : 1920, 1939].エスコラは緑色片岩相はアルマンダイン石榴石や角閃石を含まないと定義しており,この両鉱物種を含む場合は緑簾石角閃岩相とした.緑色片岩相は一般に角閃石を含まないものが多いが,アクチノ閃石が含まれることがある.緑色片岩相の上限は緑簾石を伴い,斜長石組成曹長石からオリゴクレースまたはアンデシンに変化する所が境界である[Eskola : 1920, 1939, Fyfe, et al. : 1958].緑色片岩相には特徴となる基準的な鉱物がはっきりしない.含水鉱物は実験結果からはかなり高温まで出現するので基準の鉱物にならない.緑色片岩相全体では,他の変成相の基準となるような鉱物を含まないものの総称といえる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「緑色片岩相」の意味・わかりやすい解説

緑色片岩相
りょくしょくへんがんそう
greenschist facies

広域変成岩地域に広く発達する低温変成相の一つ。主としてアルバイト (曹長石) ,アクチノ閃石 (陽起石) ,緑簾石,緑泥石などからできた岩石で,緑色の鉱物が多く全体に緑色がかって見える。 P.エスコラ (1920) によって提唱された変成相の一つで,スコットランド高地における累進変成作用研究に基づいて考えられたものであるが,その後広く使われるようになっている。

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