翻訳|chlorite
緑泥石鉱物の総称で、クロライトともいい、造岩鉱物、造粘土鉱物として重要。ケイ素(一部、アルミニウム、鉄、ホウ素などが置換することがある)の四面体がつくる二つの層が、金属原子がつくる八面体の層を挟み、さらにこれらの複合層の間に金属原子と水分子でつくる八面体の層が入っていることを結晶構造上の特徴とする。化学成分の変化によって、11種以上の鉱物名がつけられている。たとえば、クリノクロア、シャモス石、須藤石(すどうせき)などがある。アルミニウムやマグネシウムを主成分とするものは無色から白色、鉄を含むものは緑色系が多い。クロムを含むものは赤紫色になる。マンガンを主成分とするものは褐色系となる。普通、土~泥状あるいは微細な鱗片(りんぺん)状結晶の集合であるが、まれに六角ないし三角柱状の結晶がみられることがある。低温でできた変成岩、とくに緑色片岩や緑色岩(変成した塩基性岩)の主要な構成鉱物として多量に産する。ほかに、熱水変質を受けた各種火山岩、火砕岩中に粘土鉱物として産し、また花崗(かこう)岩質ペグマタイトの末期生成物として、また、輝石、角閃(かくせん)石、雲母(うんも)などの変質物としても普通にみられる。粘土としての利用価値がある。このグループの鉱物は緑色系をしているのが一般的なので、緑色を意味するギリシア語から命名された。
[松原 聰]
クロライトともいう。種々の陽イオンを含み,層状の結晶構造をもつ含水ケイ酸塩鉱物で,化学組成は(Li,Mg,Fe2⁺,Mn2⁺,Ni,Al,Fe3⁺,Cr3⁺)4~6(Si,Al)4O10(OH)8で表される緑泥石族鉱物の総称。雲母に似た葉片状あるいは板状の結晶を作るが,へき開片には雲母のような弾力性はない。通常は単斜晶系に属するが,三斜晶系や直六方晶系のものもある。モース硬度2~3,比重2.6~3.3。もっとも普通のMg-Fe系緑泥石は(Mg,Fe2⁺,Al)6(Si,Al)4O10(OH)8の組成を有し,Fe2⁺のために緑色を呈するが,Alの代りに一部にCrが入った種類は紫色であり,Feをほとんど含まない場合は白色に近くなる。また,Alが主要な陽イオンとして含まれるものもあり,この場合は陽イオンの数が上の組成よりも少なくなっている。緑泥石はもっとも普遍的に産する鉱物の一つであって,輝石,角セン石,雲母などの変質物として各種の火成岩中に含まれ,また,低変成度の結晶片岩や,熱水鉱床,鉱脈などにもしばしば多量に出る。堆積岩や粘土中にも広く含まれている。
執筆者:白水 晴雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
Mg3(Si2O5)(OH)4(蛇紋岩)と(Mg2Al2)(SiAl)O5(OH)4(アメサイト)を端成分とし,Mg2+ が Fe2+ で置き換えられた複雑な固溶体.低温変成岩,たい積岩,熱水変質を受けた火成岩に産出する.淡緑色を呈する.単斜晶系,空間群 C 2/m.格子定数は蛇紋岩に類似している.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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[亜塩素酸塩]
亜塩素酸の水素が金属で置換されて生じる塩の総称。クロライトchloriteともいう。一般式MIClO2。…
※「緑泥石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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