羽田圭介(読み)ハダケイスケ

デジタル大辞泉 「羽田圭介」の意味・読み・例文・類語

はだ‐けいすけ【羽田圭介】

[1985~ ]小説家東京の生まれ。高校在学中に「黒冷水」で文芸賞受賞してデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞受賞。

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知恵蔵 「羽田圭介」の解説

羽田圭介

日本の作家。1985年、東京都生まれ。高齢化社会や介護、兄弟間の確執刹那(せつな)的な若者就職活動といった身近な人物や出来事を、写実的に表現した作品が人気を集めている。2015年7月、無職の孫と要介護の祖父との関係を描いた『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)で第153回芥川賞を受賞した。また、テレビ番組で見せる率直で奔放なキャラクターが注目されている。
少年時代、椎名誠小説や旅行エッセーを読んで作家を意識し、高校1年の時、17歳でデビューした綿矢りさについての新聞記事を目にしたことをきっかけに、作家を志す。
03年、明治大学付属明治高校在学中に、兄弟間のストーカー行為題材にした『黒冷水』(河出書房新社)で最年少(当時で3人目)の17歳で文藝賞を受賞、小説家としてデビューする。明治大学商学部を卒業後、授業をさぼり自転車でひたすら北へと走る男子高校生を描いた『走ル』(河出書房新社)で、初めて08年の芥川賞にノミネートされる。10年にはホンダ乗用車と若者たちを巡る物語『ミート・ザ・ビート』(文藝春秋)で、14年にはマゾヒズム快楽を追い求める男たちを題材にした『メタモルフォシス』(新潮社)で、同賞の候補となった。また、11年に『ワタクシハ』(講談社)で、14年に『メタモルフォシス』で野間文芸新人賞候補に、14年には『盗まれた顔』(幻冬舎)で大藪春彦賞候補になっている。
大学卒業後は会社員となったが、09年から専業作家として活動。羽田によると、11、12年ごろ、創作に苦労し、一時は公務員試験を受けるか迷ったが、徐々に克服、14年頃から軌道に乗ったという。
ヘビーメタルバンド「聖飢魔Ⅱ」のファン。芥川賞の受賞の知らせを受けた銀座のカラオケボックスでは、顔に悪魔メークを施して同バンドの「WINNER!」を熱唱した。15年10月には、30歳の誕生日に同バンドとの対面を果たしている。
芥川賞受賞後、テレビ番組の出演が増え、カレーライスを一気に50人分作って2~3カ月食べ続ける、鶏肉4キロを購入して“鶏ハム”を作るという変わったエピソードや、「(自分の作品が掲載された)雑誌の宣伝はお金にならないからしない。単行本じゃないと印税が入ってこない」、「結婚している女性と会っても何もできないし意味がない」といった率直な発言が受け、注目されるようになった。

(南 文枝 ライター/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「羽田圭介」の解説

羽田圭介

日本の小説家。1985年、東京都生まれ。2003年、『黒冷水』(河出書房新社)により当時最年少の17歳で文藝賞を受賞し文壇デビュー。明治大学商学部卒業後、3作目の長編『走ル』(河出書房新社)で08年の芥川賞に初めてノミネートされる。10年に『ミート・ザ・ビート』(文藝春秋)、14年に『メタモルフォシス』(新潮社)でも芥川賞候補となった。また、11年『ワタクシハ』(講談社)と『メタモルフォシス』で野間文芸新人賞候補になっている。15年7月、『スクラップ・アンド・ビルド』(文學界15年3月号掲載)にて第153回芥川賞を受賞した。

(2015-7-21)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「羽田圭介」の解説

羽田圭介 はだ-けいすけ

1985- 平成時代の小説家。
昭和60年10月19日生まれ。平成15年明大付属明治高時代にかいた「黒冷水」で文芸賞。大学卒業後も会社につとめながら小説を書きつづけ,23年苛酷な就職活動をえがいた『「ワタクシハ」』が評判となる。27年要介護老人と無職青年をとおして超高齢化社会の現実をえがいた「スクラップ・アンド・ビルド」が芥川賞を受賞。東京都出身。明大卒。作品はほかに「走ル」「ミート・ザ・ビート」「御不浄バトル」「隠し事」「メタモルフォシス」など。

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