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丸山圭三郎 まるやま けいざぶろう

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

丸山圭三郎 まるやま-けいざぶろう

1933-1993 昭和後期-平成時代のフランス文学者,言語学者。
昭和8年4月25日生まれ。国際基督(キリスト)教大助教授から中央大助教授となり,49年教授。ソシュール言語哲学の研究で知られた。平成5年9月16日死去。60歳。東京出身。東大卒。著作に「ソシュールの思想」「生命と過剰」「言葉と無意識」。

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書籍版「講談社 日本人名大辞典」をベースに、項目の追加・修正を加えたデジタルコンテンツです。この内容は2015年9月に更新作業を行った時点での情報です。時間の経過に伴い内容が異なっている場合がございます。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

丸山圭三郎
まるやまけいざぶろう
(1933―1993)

言語哲学者、フランス文学者。水戸市に生まれる。国文学者の父の下で、幼少期より文学に親しむ。17歳で第二次世界大戦終戦を迎え、1952年(昭和27)には東京教育大学付属高校から東京大学文学部仏文科に進み、学生時代に数編の小説を同人誌『砂漠』に寄稿する。1959年に同大学院修士課程を修了後、アメリカコーネル大学に留学し、1965年に同大学院言語学科博士課程を修了。この間、アメリカ言語学が得意とする「分布分析」(言語要素がどういう位置関係をとるかという分析)を徹底して実践するとともに、それに対する根本的な批判も身につけたという。帰国後、1960年に国際基督(キリスト)教大学に専任講師として着任。1966年よりNHKテレビ、ラジオのフランス語講師として活躍する。1969年に論文「構造主義と言語学」(『英語教育』1969年9月号)を発表することによって、言語理論の構築へと乗り出してゆく。
 1971年には中央大学に移り、フランス語、フランス文学の教育を続けながら、他方で一般言語学に関する論文を矢つぎばやに発表。それらではフェルディナン・ド・ソシュールにおける「体系」の概念を論じ、そこから派生する「二つの構造」をとらえ、「ラング」と「パロール」との関係を解明する。また同時に、ソシュールの唱える「言語記号の恣意(しい)性」をめぐる論争に決着をつけ、しだいに記号論の分野にも思索を広げてゆく。こうして1981年には主著『ソシュールの思想』を刊行し、当時のポスト構造主義ブームともあいまって、一躍、言論界の寵児(ちょうじ)となる。同書では、ロベール・ゴデルRobert Godel(1902―1984)、ルドルフ・エングラーRudolf Engler(1930―2003)、トゥリオ・デ・マウロTullio De Mauro(1932― )らの推進する最先端のソシュール研究を日本に初めて紹介し、シャルル・バイイとアルベール・セシュエAlbert Schehaye(1870―1946)によりまとめられた『一般言語学講義』Cours de linguistique gnrale(1916)の不備を指摘している。
 同著の刊行を機に、言語哲学者をもって自任するようになる。1984年には『文化のフェティシズム』を発表。ソシュールの「恣意性=示差性」原理を基礎とする言語モデルによって独自の「事(こと)的世界観」を確立し、「フェティシズム」「物象化」の観点から世界解釈を試みる。そこでは動物と人間との行動を「身分け」「事=言分け」という形態で区別し、「カオス」「コスモス」「ノモス」の概念を駆使する文化論を展開しているが、やがて『欲望のウロボロス』(1985)、『フェティシズムと快楽』(1986)、『生命と過剰』(1987)、『生の円環運動』『ホモ・モルタリス』(ともに1992)などを通じて無意識の世界を探求し、欲動や生死について言及するようになってゆく。こうして丸山は、言語研究の堅固な基盤の上に独自の思想をうちたて、執筆・講演に日々忙殺されながら、1993年(平成5)9月16日に自宅の書斎で急逝する。まさに還暦を迎え、弟子たちの手になる記念論集『言語哲学の地平』(1993)が上梓(じょうし)されようという矢先のことだった。そのほかの著作に『文化記号学の可能性』『ソシュールを読む』(ともに1983)、『丸山圭三郎 記号学批判』(1985、共著)、『言葉のエロティシズム』(1986)、『文化=記号のブラックホール』『言葉と無意識』(ともに1987)、『欲動』(1989)、『言葉・狂気・エロス』(1990)、『人はなぜ歌うのか』『カオスモスの運動』(ともに1991)などがある。[加賀野井秀一]
『『ソシュールの思想』(1981・岩波書店) ▽『ソシュールを読む』(1983・岩波書店/講談社学術文庫) ▽『欲望のウロボロス』(1985・勁草書房) ▽『フェティシズムと快楽』『言葉のエロティシズム』(1986・紀伊國屋書店) ▽『生命と過剰』(1987・河出書房新社) ▽『文化=記号のブラックホール』(1987・大修館書店) ▽『欲動』(1989・弘文堂) ▽『人はなぜ歌うのか』(1991・飛鳥新社) ▽『生の円環運動』(1992・紀伊國屋書店) ▽『ホモ・モルタリス』(1992・河出書房新社) ▽『文化記号学の可能性』(1993・夏目書房) ▽『丸山圭三郎著作集』全5巻(2013、2014・岩波書店) ▽『カオスモスの運動』(講談社学術文庫) ▽『言葉と無意識』『言葉・狂気・エロス』(講談社現代新書) ▽丸山圭三郎・竹田青嗣著『丸山圭三郎 記号学批判』(1985・作品社) ▽丸山圭三郎編『ソシュール小事典』(1985・大修館書店) ▽加賀野井秀一他編『言語哲学の地平――丸山圭三郎の世界』(1993・夏目書房)』

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