船の後端。商船の船尾は、帆船時代のナックル船尾が20世紀の前半ごろまで多く採用されていた。これは側面から見ると船尾の上部外板と下部外板との境目にナックル(折れ線)が現れるので名づけられたのであろう。船尾の複雑な曲面の加工がむずかしかったからである。平面図でみると楕円(だえん)形になっているので楕円形船尾ともよばれる。その後、巡洋艦その他の軍艦がナックルをやめ、船尾の突き出た部分の後端までを三次元曲面として水につかる船尾を採用してから、商船にもこの型が普及した。巡洋艦型船尾とよばれ、水没部分の長さが長く、船尾の水流がプロペラへよく流れ込むので、船体抵抗とプロペラ効率の面で優れている。また、船首の形と組み合わせて優美な外観をつくりやすいので、現在ではこの型の船尾があたりまえになっている。そのほか、トランサム型船尾を採用する船も増えつつある。これは、巡洋艦型船尾の後端部を切り落としたような形で、後ろから見るとその部分が上に開いた三角形に見える。外観はあまりよくないが、工作が簡単なのでコンテナ船や自動車専用船などによくみられる。
[森田知治]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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