競争力のある事業を「選択」し、経営資源をこの選択した事業に「集中」するという経営手法、あるいは経営理論。1981~2001年の間、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)の最高経営責任者であったウェルチJack Welch(John Francis Welch Jr.、1935―2020)が提唱・採用した。ウェルチは、将来、世界市場でナンバー1かナンバー2を確保できる得意分野の事業(コア事業core competence)のみを残し、それ以外の事業(ノンコア事業)はたとえ黒字が出ていても売却・廃止するという経営戦略をとった。事業再編に伴い、人、物、金、情報などの経営資源をコア事業に集中させることで、GE社は1980年代から1990年代末にかけて、売上高を6.3倍の1700億ドル、利益を6.7倍の107億ドルに伸ばした。なお、対義の経営概念は「多角的経営」である。
日本では1980年代後半から1990年代初めのバブル経済期に、経営理論として多角的経営が流行していたが、バブル経済が崩壊した1990年代後半以降、「選択と集中」が経営改革のキーワードとして注目されるようになり、産業界を席捲(せっけん)した。たとえば、武田薬品工業は食品・化成品・農薬などの周辺事業を売却・整理して、主力の医薬品事業に特化した。キヤノンは複写機やプリンター周辺に、信越化学工業は半導体シリコンウエハー事業等にそれぞれ資源を集中し、経営改革に成功している。ただし選択と集中には、事業を特定分野に特化するだけに、(1)予想外の外部環境の変化に対応できない、(2)短期的な利益確保に注力しがちで、将来の成長事業の芽を摘みとりかねない、といった問題がある。また、大規模なリストラを伴うことが多いため、雇用を重視する日本的経営にはなじみにくいといった指摘もある。
[編集部]
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