霊魂不滅(=不死)の概念は、インド思想、ギリシア思想、ユダヤ教、キリスト教において、哲学的・宗教的に深められたが、そこには二つのタイプが存在する。第一は、霊魂は不滅である、なぜなら霊魂は本来的に神的な性質をもっているから、としてインド思想、ギリシア思想に特徴的である。第二は、霊魂は本来的に不滅ではないが、神の賜物(たまもの)によって不滅なものとされる。これはユダヤ教、キリスト教に特徴的である。
プラトンは『パイドン』(104B~105E)において霊魂不死の論理的な証明を試みたが満足できず、『パイドロス』『国家』などでも行った。デカルトは『省察』において霊魂不滅の証明を心身の区別の証明として扱ったが、カントは『実践理性批判』において証明を断念し、実践的理性の要請とした。
[加藤 武]
『プラトン著、田中美知太郎訳『プラトンⅡ 哲学(1)』(1981・岩波書店)』▽『波多野精一著『時と永遠』(1943・岩波書店)』▽『ジャンケレヴィッチ著、仲沢紀雄訳『死』(1978・みすず書房)』
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