シーサンパンナ(読み)しーさんぱんな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シーサンパンナ」の意味・わかりやすい解説

シーサンパンナ
しーさんぱんな / 西双版納

中国、雲南(うんなん)省南端にあるタイ族自治州。ミャンマー、ラオス両国と国境を接する。景洪(けいこう)市と勐海(もうかい)、勐臘(もうろう)の2県からなり(2016年時点)、州政府の所在地は景洪市の允景洪(いんけいこう)鎮。人口108万7224(2010)。後漢(ごかん)の永昌(えいしょう)郡南辺の地で、唐代の南詔(なんしょう)国銀生節度使、元代に徹里(てつり)軍民総管府、明(みん)・清(しん)代には車里(しゃり)宣慰司が置かれた。シーサンパンナは、「12の開けた地区」という意味のタイ語系のことばに基づく。1955年自治州となった。

 瀾滄江(らんそうこう)(メコン川上流)流域の平野は水田地帯であり、自治州の中心をなすタイ族の居住地である。周辺の山地では、ハニ族、プーラン族、ラフ族などがかつて焼畑と狩猟を行っていたが、現在は茶の栽培地が広がっている。そのほか平地ではバナナ、コーヒーなどの亜熱帯作物の栽培が盛ん。原始林には、ゾウ、サイ、テナガザルクジャクなどが多く生息する。また、シーサンパンナじゅうたんの生産で有名。州内には昆洛自動車道(昆明(こんめい)―打洛(だらく))とその支線が通じている。

[青木千枝子・河野通博・編集部 2017年2月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「シーサンパンナ」の意味・わかりやすい解説

シーサンパンナ (西双版納)
Xī shuāng bǎn nà

中国,雲南省南端のタイ(溙)族自治州。景洪市と勐海(もうかい),勐臘(もうろう)の2県よりなる。政府所在地は景洪市。タイ,ハニ(哈尼)など10余の少数民族が住み,州南部は熱帯に属する。三国時代の蜀では永昌郡下にあったが,元代に徹里軍民総管府が設けられ封建制に移行した。ちなみに西双版納とはタイ語で12の千田の意で千田とは封建領地の単位をさす。明・清に車里宣慰司がおかれ,土司(どし)制度が確立した。1950年に解放された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシーサンパンナの言及

【シプソン・パンナー】より

…中国,雲南省の最南端部で,ラオス,ミャンマーとの国境に接する地域のタイ・ルー語による呼称。漢字表記では西双版納(シーサンパンナ)。タイ・ルー族の約21万人をはじめ,タイ系民族が多く住む。…

【住居】より

…外壁は内転びをつけた分厚い石壁で,これに木材根太を組み合わせた構造とし,屋根は厚い土葺きになる。
[西南少数民族の住居]
 雲南省シーサンパンナ(西双版納)のタイ族は,大屋根を葺き下ろした干闌(高床)式住宅で,下層は家畜と物置,上層に居室,テラスがある。このほか西南地方には,広西のチワン(壮)族,貴州のミヤオ(苗)族,トン(侗)族など,外観の特徴は異なるが干闌式住宅を用いている少数民族は数多い。…

※「シーサンパンナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android