コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

クジャク クジャク Pavo; peacocks; peafowls

2件 の用語解説(クジャクの意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

クジャク
クジャク
Pavo; peacocks; peafowls

キジ目キジ科のうち,「…クジャク」という和名をもつ鳥の総称,または,一般にクジャクとして知られているインドクジャク Pavo cristatusマクジャクのこと。「…クジャク」という和名で呼ばれている鳥には,上記の 2種のほか,コクジャクPolyplectron 8種とコンゴクジャク Afropavo congensis がある。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クジャク
くじゃく / 孔雀
peacockpeafowl

広義には鳥綱キジ目キジ科のコンゴクジャク、およびコクジャク属とクジャク属に含まれる鳥の総称で、狭義にはクジャク属だけをさす。
 クジャク属Pavoには2種があり、インドクジャクP. cristatusは、インドとスリランカの標高1500メートル以下のあまり密生していない森林にすむ。地上で、草の種子、木の実、昆虫などをとり、ときにはヘビ類も食べる。飛翔(ひしょう)はあまり巧みではないが、外敵にあうと飛び立って木の枝の茂みに隠れる。ねぐらが決まっていて、夕方になるとトランペットのような大きな声で鳴きながら、木から木へ飛び移ってねぐらに戻り、樹上で眠る。1~3月に淡黄褐色の卵を3~8個、地上の巣に産む。世界中の動物園で飼育されており、人々に親しまれている。雑食性でじょうぶであり、群居も嫌わないし、ねぐらを決めるので放し飼いも容易なため、飼養にはまことに都合がよい。全長は雄が約2~2.3メートル、雌は約1メートル。ともに頸(くび)が長く、大きな体であるが、雄の尾羽の上に生えている上尾筒が1.2メートル以上もあり、雄の全長を大きくしている。雄は、頭部から胸にかけて金属光沢のある青、背は褐色の横縞(よこじま)がある灰褐色、翼、腹、わき、尾は褐色。頭には扇状の青い冠毛がある。上尾筒は、緑色の地に、金属光沢のある青をオレンジ、黄で縁どりした円い大きな斑紋(はんもん)が規則的に並んでいて美しく、これを大きく扇状に開くディスプレーをしばしば行う。この行動は繁殖期に雌の前で行うことが多いが、繁殖行動とはまったく関係のない場面でも行う。雌は、頭から胸にかけて緑色、わきは黄褐色で、それ以外は灰褐色、雄と同様の冠毛がある。同じ属のマクジャクP. muticusは、中国南西部、インドのアッサム地方、インドシナ半島、マレー半島北部、ジャワ島の森林にすみ、とくに河畔の林を好む。生態はインドクジャクに似るが、雄どうしが戦うので群れでは飼いにくい。形態も似ていて、雄の全長は約2.4メートル、雌は約1メートル。雌雄ともに羽色は緑で、雄の長い上尾筒にはやはり円い斑紋がある。緑色の冠毛は垂直に立つ。
 コンゴクジャクAfropavo congensisはアフリカのコンゴ盆地に分布する。1913年に1枚の次列風切(かざきり)羽からその存在が知られ、1936年に古い標本がみつかって、コンゴ産アフリカクジャクという意味の学名がつけられた。生きた鳥が学者の手で調べられたのは1947年以降のことである。上尾筒が長くないこと以外は前2種に似ており、雄は青紫と緑と黒の美しい姿をしている。雌雄とも全長約1メートル。ほかに近縁のコクジャク属Polyplectronには6種が含まれ、インド東部からボルネオ島、スマトラ島にかけて分布している。なお、動物園などでみられるシロクジャクやハグロクジャクは、飼育下で作出されたインドクジャクの変異型である。
 日本へは597年(推古天皇5年)に新羅(しらぎ)から献上された記録があり、江戸時代には観賞用としておもに分布地の近いマクジャクが多く持ち込まれ、徳川光圀(みつくに)は放し飼いを試みた。中東、ヨーロッパには紀元前10世紀ごろからインドクジャクが観賞用として持ち込まれたが、紀元前1世紀ごろには蒸し焼きの肉が祝宴に欠かせない料理とされた。インドクジャクはインドの国鳥。マクジャクはミャンマー(ビルマ)で国鳥扱いされている。[竹下信雄]

民俗

クジャクはその美しい容姿から、多くの地域で神聖視された。インドでも各地で神聖な鳥とし、とらえたり、いじめたりしてはならないという。クジャクをトーテムとし穀物を供え、クジャクに近づくことを強く忌む部族もある。こうした禁忌と表裏をなし、クジャクを不吉な鳥とする土地もある。クジャクの羽には蛇毒を除くほか、一般に病気をいやす力があるという伝えもある。仏教の孔雀明王は、本来はクジャクを神格化したヒンドゥー教の女神で、蛇毒を解く神の信仰に由来し、あらゆる毒物や病気をいやす力があるとする。クジャクは高貴なものの象徴にもなり、ビルマでは王位の尊厳を表し、国王の正装の腰布にも描かれた。北部ミャンマーのシャン人では、クジャクは太陽の鳥で、月のウサギとともに、空飛ぶ車で須弥山(しゅみせん)の周囲を回っているという。中国でもクジャクは霊鳥で、鳳凰(ほうおう)の原形「鳳」は殷(いん)代の甲骨文字ではクジャクを象形していた。殷代には「風」の字はなく、風も「鳳」で表し、クジャクが季節を支配する風の神の神鳥であったらしい。クジャクは風を介して鳴き声ではらむという伝えが唐(とう)代にあったのも、古い信仰の名残(なごり)であろう。インドでもクジャクは、雨期が近づいて雷がもたらす雲によってよみがえるとか、雷鳴を聞いてはらむとかいわれ、再生、不滅を象徴し、豊穣(ほうじょう)の季節を告げる鳥であった。古代ギリシア・ローマでは、天空の女神ヘラ(ユノ)の神鳥として知られた。中世キリスト教時代には、ヨーロッパでもクジャクは霊魂不滅の象徴として好まれたが、後世には声を不吉とし、尾羽は金の眼(円い模様)が悪魔的であるとして嫌われた。これは聖なるものの両義性の一面で、東アジアではクジャクの尾羽を珍重し、中国では官吏に栄誉のしるしとして授与し、また毒を解く力があるから身に着けておくとよいとも伝えた。日本では、琉球(りゅうきゅう)王朝時代に鹿児島県奄美(あまみ)大島の祝女(のろ)が祭祀(さいし)のときに頭に着けた飾り羽に、クジャクの尾羽が2本使われていたが、これは16世紀以前のものであろう。インドでは白いクジャクを神聖視するが、中国にも、宋(そう)の孝武帝にめでたいしるしとして白いクジャクを献上した記録がある。[小島瓔

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

クジャクの関連キーワード着尺インド孔雀帰寂孔雀高麗雉泣き噦るクジャク(孔雀)キジ(雉)コクジャク(小孔雀)

今日のキーワード

アレルギー

語源はギリシャ語。「変わった(変えられた)働き」です。関係しているのは、人間の免疫システム。免疫は本来、人の体を守る仕組みですが、ときに過剰反応し、不快な症状を引き起こすことがあります。それがアレルギ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

クジャクの関連情報