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テナガザル Hylobatinae; gibbon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

テナガザル
Hylobatinae; gibbon

霊長目オランウータン科テナガザル亜科のサルの総称。ギボンともいう。体は比較的ほっそりとし,前肢が極端に長い。尾はない。ほとんど樹上で生活し,枝から枝へ長い手を使って巧みに移動する。泳ぎはできない。数頭から成る小群で生活し,特定の地域を占有し,他群の侵入を許さない。シロテテナガザルフクロテナガザルをはじめ7種以上が知られている。東南アジアの熱帯林に分布する。

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百科事典マイペディアの解説

テナガザル

ギボンとも。霊長目テナガザル科の類人猿9種の総称。インド東端〜東南アジアに分布。昼行性で森林の樹上に1雄1雌の家族ですみ,果実,葉,昆虫,鳥の卵などを食べる。長い前肢でぶら下がりながら敏速に林内を移動し,飛行中の鳥をも手で捕らえることができる。
→関連項目サル(猿)類人猿

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

テナガザル
てながざる / 手長猿
gibbon

哺乳(ほにゅう)綱霊長目ショウジョウ科テナガザル亜科に属する動物の総称。この亜科Hylobatinaeはテナガザル属Hylobates1属を含む。英名をギボンといい、小形類人猿lesser apesともよばれる。オランウータンとともにアジアの類人猿Asian apesの構成員であり、インドシナ半島を中心に、中国南部、ミャンマー(ビルマ)、アッサム地方、マレー半島、スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島に分布する。[伊谷純一郎]

分類

かつて多くの種に分けられたが、8種とするのが妥当であろう。このうち、大形のフクロテナガザルH. syndactylusは、フクロテナガザル属Symphalangusという別属として扱われたことがある。また、フクロテナガザル以外を2種にまとめ、体色などにみられる変異は亜種として扱うという立場もある。
 フーロックテナガザルH. hoolockは、雄は全身黒色、雌は褐色で、両性ともに眉(まゆ)のみが白く、アッサム地方に分布する。シロテテナガザルH. larは、体色は黒、茶、白などの多形を示すが、いずれも手足が白く、マレー半島からスマトラ島にかけて分布する。これとほぼ同じ分布を示すアジルテナガザルH. agilisは、体色の多形は前者ほど顕著でなく、手足の色は体色と同じである。ボウシテナガザルH. pileatusは、頭部の毛の生え方に特徴があり、カンボジア地方に分布する。クロテテナガザルH. concolorは、ベトナムに分布する。ギンイロテナガザルH. molochは別名ワウワウとよばれ、全身銀白または灰色で、ボルネオ島とジャワ島に分布する。クロッステナガザルH. klossiは、ピグミーシァマンともよばれ、全身黒色で、ムンタワイ島に分布する。もっとも大形で全身黒色のフクロテナガザルは、シロテテナガザルと同じく、マレー半島とスマトラ島に分布している。[伊谷純一郎]

形態

テナガザル類は、フクロテナガザルを除き、頭胴長約50センチメートル、体重は4~6キログラム。フクロテナガザルは、頭胴長60センチメートル、体重は10キログラムを超す。いずれも尾はない。名のとおり前肢が長く、両腕を水平に伸ばすと両指先の間は130センチメートルに達する。フクロテナガザルとクロッステナガザルは、足の第3・第4指の間に皮膜が認められ、2本の指が癒合したようになっている。また、フクロテナガザルは、喉頭(こうとう)部に巨大な袋をもち、これを膨らませ響鳴袋にして大声を発する。新生代第三紀漸新世のエジプトのファイユームから出土した霊長類の化石のうち、エオロピテクスAeolopithecus、プロプリオピテクスPropliopithecusなどは現生のテナガザル属に似ているといわれており、テナガザル属はヒト上科Hominoideaのなかでもっとも早く分岐したグループと考えられている。[伊谷純一郎]

生態

テナガザルは、熱帯多雨林の樹上生活者で、前肢で懸垂し、体を前後に振り動かして敏捷(びんしょう)に樹間を腕渡りする。これをブラキエーションbrachiationという。植物食を主とするが、鳥の卵なども食べる。いずれの種も雌雄各1頭とその子からなる典型的なペア型の集団をつくり、子は性的成熟の前後に両性とも生まれ育った出自集団を離れる。集団は厳重な縄張り(テリトリー)をもち、テリトリー・ソングによって接触を避けるが、フクロテナガザルでは、特殊化した発声器官がそれに役だっている。[伊谷純一郎]

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