バルマー系列(読み)バルマーけいれつ(英語表記)Balmer series

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルマー系列」の意味・わかりやすい解説

バルマー系列
バルマーけいれつ
Balmer series

水素原子のスペクトル系列の1つ。可視部にあり,主量子数が2で終る系列。 1884年スイスの物理学者 J.バルマーは,水素原子から出る可視光の線スペクトル波長 λ は,λ=bn2/(n2-4) という簡単な式で一括して表わせることを発見した。ただし n=3,4,5,… 。これは実験式であり,観測結果と合せるためには,定数 b を 364.6nmにとらなければならない。一見不規則にみえる線スペクトルにこのような規則性があるという発見は,ボーアの原子理論形成に大いに貢献した。その後,可視部以外で,バルマー系列と同様の性質をもつライマン系列パッシェン系列などが発見され,分光学発展を刺激した。

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法則の辞典 「バルマー系列」の解説

バルマー系列【Balmer series】

水素発光スペクトルで,可視部から紫外部にかけて出現するもの.最初に級数関係が認められたスペクトル系列である.波長を λ,Rリュードベリ定数*として現代風の表現によると

となる(最初のバルマーによる報告では,波長は(n2-4)/n2 に比例するものとされていた).

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世界大百科事典(旧版)内のバルマー系列の言及

【原子スペクトル】より


[水素原子のスペクトル]
 85年に,J.J.バルマーは水素原子の発する光のスペクトルの中のHα(波長6563Å,赤),Hβ(4861Å,青),Hγ(4340Å,青紫),Hδ(4102Å,紫)の4本の線スペクトルの示す波長λがλ=Am2/(m2-4)(m=3,4,5,6,Aは定数)で表されることを発見した。これらの線スペクトルの系列はバルマー系列と呼ばれるが,その後,T.ライマンによって紫外部に,また,L.C.H.F.パッシェンによって赤外部に,それぞれラインマン系列,パッシェン系列と呼ばれる線スペクトルの系列が発見され,バルマー系列を含めて,これらの系列の線スペクトルの波長λは,で表されることが明らかとなった。ただし,RHは定数,n,n′は整数である。…

※「バルマー系列」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」