日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
プチ(Roland Petit)
ぷち
Roland Petit
(1924―2011)
フランスの舞踊家、振付者。パリ郊外のビルモンブルに生まれる。パリ・オペラ座バレエ団に入ったが、1944年J・コクトーらの援助を受けて独立、シャンゼリゼ・バレエ団を結成し、『若者と死』などを上演。1948年にはパリ・バレエ団と改称、映画『ブラック・タイツ』(1960)にも収録された『カルメン』『ダイヤモンドを喰(く)う女』などを発表した。1970年カジノ・ド・パリを買収し、妻であるジジ・ジャンメールZizi Jeanmaire(1924―2020)主演のレビューの演出にあたった。1972年バレエ・ド・マルセイユ(マルセイユ・バレエ団)を結成し、その芸術監督となり、『病めるバラ』『シンフォニー・ファンタスク』『オペラの怪人』などを上演。改訂版『コッペリア』では、プチ扮(ふん)するコッペリウス博士が人形と踊って絶賛を博した。バレエのほか、ショーの振付け演出では洗練されたスマートなセンスで観客を魅了した。1998年バレエ・ド・マルセイユを離れた後は、フランスをはじめ、アメリカ、イタリア、日本などのバレエ団で自作品を上演。来日することも多く、熊川哲也(1972― )のKバレエカンパニーや牧阿佐美(まきあさみ)バレエ団で作品を発表していた。1962年芸術文化勲章シュバリエ、1974年レジオン・ドヌール勲章、2002年国家功労勲章コマンドールを受章。
[市川 雅・國吉和子]
『ジャン・ヴァンサン・ミネオほか写真、ジェラール・マノニほか文、前田允訳『ローラン・プティ――ダンスの魔術師』(1987・新書館)』▽『ダンスマガジン編『コリオグラファーは語る』(1998・新書館)』