デジタル大辞泉 「ダイヤモンド」の意味・読み・例文・類語
ダイヤモンド(diamond)
1 炭素の同素体の一。数ミリから数センチの結晶または破片の形で産出し、ふつう正八面体。純粋なものは無色透明。硬度は最高。宝石のほか、工業用として研磨材・切削工具などに利用。人工的に合成もされる。金剛石。ダイヤ。
2 野球で、本塁と三つの塁に囲まれた部分。内野。
[類語]宝石・
翻訳|diamond
純粋の炭素からなる鉱物で,天然の物質のなかで最も硬く,透明で光沢があり,一般に宝石として知られているが,工業的利用も重要である。名は〈征服されないもの〉〈無敵のもの〉という意味のギリシア語アダマスadamasに由来する。16世紀の中ごろに転訛して現在の語となった。和名は金剛石。天然産のものは世界で年間12tほど生産され,そのうちの20%は宝石用,残りの80%と人工ダイヤモンドのすべては工業用である。
執筆者:西田 孝
ダイヤモンドは最高の硬度と高い屈折率による光輝とによって,宝石の王者の地位にある。〈清浄無垢〉を象徴し4月の誕生石となっている。この宝石と人類の織りなす歴史は古く,旧約聖書の《エレミヤ書》第17章には〈ユダの罪は……金剛石のとがりをもって記され……〉とあり,また《エゼキエル書》第28章にも,神の国エデンにあった宝石の一つとして,ダイヤモンド(1955年の改訳後は赤メノウ)の名があげられている。しかし,その加工しにくい硬さと,ルビーやエメラルドのような色彩に欠けるために,中世ではあまり重要視されず,カットができるようになって初めて人びとが珍重するようになった。〈ダイヤモンドにはダイヤモンドをdiamond to diamond〉,つまりダイヤモンドを研磨しうるのはダイヤモンド粉末が唯一のものであることが発見されたのは,15世紀になってからである。1475年,ベルギーのベルケムLouis de Berquemが初めてダイヤモンド粉末を固着させた回転砥石でダイヤモンドを33面にカットした。この研磨法の発明はダイヤモンド加工の黎明となった。
ダイヤモンドの評価の基準となる品質等級(グレードgrade)を示すには,〈四つのC〉の方式が一般に用いられている。つまり,カラットcarat(重量),カットcut(研磨),カラーcolor(色),クラリティclarity(透明度)である。(1)重量はカラット(ct)の単位で表示されるが,1カラットは200mgに相当する。大きな原石の産出は少なく,希少価値が高くなるため,その価格はカラットの大きさにつれて等比級数的に増大する。(2)ダイヤモンドをカットするには,まずへき開を利用して割り,荒削りし,ダイヤモンド粉末で研磨する。カットの代表的なものは,外形が円形で,上部のクラウンcrown部にテーブルtable面を加えた33面,下部のパビリオンpavilion部に24面,計57面のファセットfacet(切子)面で構成されるラウンド・ブリリアント・カットround brilliant cutである。このカットは,テーブル・カット,ローズ・カットなどを経て17世紀に考案され,19世紀中ごろにはアメリカで,いくつか角度を変えてカット試験が行われた。次いで1919年には理論的な解明が試みられて,理想的な〈アイデアル・カット〉が完成された。ラウンド・ブリリアント・カットのほかには,外形が長方形のエメラルド・カット,楕円形のオーバル・カット,ボート形のマーキーズ・カット,洋ナシ形のペア・シェープト・カット,ハート形カットなどがある。ダイヤモンドの光輝はそのカットの良否にかかっている。理想的な角度にカットされた石は,入射した光を底面で全反射して強い輝きを放つ。とくにラウンド・ブリリアント・カットでは下部パビリオンの角度(40度45分)の精度は厳密に要求され(誤差±2度以内),このカット形状および各部誤差は,クラウン部分の径を100%とした場合のおのおのの面の寸法割合,つまりプロポーションで示される。(3)ダイヤモンドの色(カラー)は,無色(ホワイトと称する)あるいは青白色(ブルー・ホワイト)を最高級品として,ごくわずかのイェロー,ブラウンなどの色調を帯びるとその評価は下がってくる。しかしこれらのホワイト系の等級分類とは別に,ブルー,カナリー・イェロー,ピンク,グリーンなどの色をもつ石はファンシー・カラー(変り色)と呼ばれ,その色の美しさのためにホワイト系よりも珍重されて高く評価される。(4)透明度(クラリティ)においては,ダイヤモンド内部にあるインクルージョン(内包物)の存在や,外面のわずかのきずや仕上げ欠点を総合して等級決定が行われる。カラーは標準光源(人工デーライト光源)下で,クラリティは10倍のルーペ(拡大鏡)を用いて,熟練者が規定の基準に従って,等級判定を行っている。現在ではサイクロトロンなどの加速器や原子炉により放射線処理された人工着色のファンシー・カラーの石が市場に出されており,天然の各色石と処理石との間の価格差が大きいので,両者の判別はつねに大きな問題となる。
また産出原石の大部分(80%以上)は,1930年にデ・ビアス・コンソリデーテッド・マインズ社が設立した,南アフリカ共和国およびロンドンを本拠地とする中央販売機構(CSO)によって集荷,価格統制されて供給される。ダイヤモンドの集中研磨加工地は,ベルギーのアントワープ,イスラエルのテルアビブ・ヤフォ,南アのヨハネスバーグ,アメリカのニューヨーク(実際の加工はプエルト・リコが多い),オランダのアムステルダム,インドのボンベイ(現,ムンバイー)などである。カットされた製品は,上記加工地と取引のある世界16ヵ所の取引所,すなわちダイヤモンド・クラブあるいはダイヤモンド・ブースと呼ばれる場所で取引され,世界中に供給される。
執筆者:近山 晶
大プリニウスは《博物誌》第37巻のなかで,鉄床の上のダイヤモンドを鉄槌でたたくと,かえって鉄槌のほうが二つに割れてしまうと述べているが,これは明らかに誇張というべきであろう。さらにプリニウスの記述でおもしろいのは,殺したばかりの温かいヤギの血に浸すと,ダイヤモンドは簡単に割れてしまうと述べている点である。13世紀のアルベルトゥス・マグヌスも,同じような説を述べている。ギリシア人は物質間における反発と親和の原理を信じていたから,ダイヤモンドと磁石とは互いに反発しあうと考えた。プリニウスは,〈ダイヤモンドを磁石の近くに置くと,磁石が鉄を引きつけるのを妨げる。たとえ磁石が近くの鉄をつかまえても,ダイヤモンドは磁石から鉄を奪い取ってしまう〉と述べている。荒唐無稽だが,この説は古代や中世の博物学者ばかりでなく,近代の多くの科学者にまで受け継がれた。ビンゲンの聖女ヒルデガルトによると,ダイヤモンドを口中に含んでいれば,ひとは噓をつくことから免れられるし,断食を行うのも易々たるものだという。プリニウス以来,あらゆる宝石中で最高位にランクされていたので,その魔術的な効能も数え立てればきりがないほどである。
執筆者:澁澤 龍
歴史の古いインド産ダイヤモンドには多くの来歴や逸話が語られている。実在が確認されている最古のダイヤモンドは〈ブリオレット・オブ・インディアBriolette of India〉(約90カラット)で,第2回十字軍遠征(1147-49)のおりヨーロッパに持ち込まれた。リチャード1世(獅子心王)が第3回十字軍遠征に加わり敵に捕らえられたとき,それを身代金に使って解放されたという。インド産最大のダイヤモンド〈グレート・ムガルGreat Mughal〉は約280カラットあったと伝えられるが,17世紀に行方不明となった。しかし一説に,この石は磨き直され,ビクトリア女王に献上され王室の宝物に加えられた〈コーイヌールKoh-i-noor〉(約106カラット),あるいはかつてインド南部の寺院に安置されていた女神像の目から剝ぎ取られロシアのエカチェリナ2世に贈られたといわれる〈オルロフOrlov〉(約195カラット)に変わったのではないかといわれている。また17世紀にルイ14世が買い取った〈ホープHope〉(約44カラット)はブルー・ダイヤモンドで,凶運の石として知られ,それを着用したモンテスパン夫人やマリー・アントアネットのように刑死したり,後年それを買い入れた銀行家ホープ家のように不慮の死や家庭の不幸に見舞われる者が続出した。伝説によれば,フランスのダイヤ商人タベルニエJ.B.Tavernier(1605-89)が1668年ころインドの寺院でラーマーシーターの神像の目からそれを盗み取ったためのたたりだという。なお世界最大のダイヤモンドといわれる南ア産の〈カリナンCullinan〉は原石が3106カラットあったといわれ,現在は数個に分割されてイギリス王室の王冠や笏に飾られている。
執筆者:荒俣 宏
化学組成は炭素で,石墨(黒鉛)と同じであるが,結晶構造がまったく異なる多形の関係にある。結晶構造は非常に完全で,1個の炭素のまわりに4個の炭素が1.54Å離れて正四面体の各隅に位置し,共有結合でしっかり結ばれている。この正四面体の配列の仕方により,立方晶系と六方晶系に属するものがあるが,天然産のほとんどは前者に属し,後者は特殊な生成条件でできる。天然産の結晶形は,八面体,斜方十二面体,およびその中間型が多い。結晶面は溶解作用を受けて稜が丸くなり湾曲しているものが多く,また八面体の結晶面上には,三角形のくぼみのトライゴンtrigonと呼ばれる食像がしばしば観察される。金属触媒を用いて合成された人工ダイヤモンドでは,生成温度が低いと六面体,高温では八面体となる。また,気相からの成長では逆になる。硬さは,モース硬度10(黒鉛は0.5)で,われわれの知りうる物質の中で最も硬い。この硬いダイヤモンドを加工するためには,八面体の面に平行なへき開を利用することと,ダイヤモンド自身による研磨しかない。すなわち結晶は一般に物理的・化学的性質に関して,結晶の方向による異方性を持っている。八面体の面はすべての方向で硬い。六面体の面では稜に平行な方向は軟らかく,対角方向は硬い。その差は研磨時間にして最大1000倍にもなる。比重3.515。屈折率は2.407(赤色光),2.424(緑色光),2.465(紫色光)と非常に大きいのが特徴で,美しく輝く原因となっている。色は無色,淡黄色,褐色が多い。X線に対して透明で,陰極線,放射線により蛍光を発する。
現在,立方形ダイヤモンドは,不純物(おもに窒素)の量や入り方によって四つの型に分けられている。(1)Ⅰa型 窒素を0.1%以上含み,それらの多くは小さな薄板状となって析出して分布している。天然産のほとんどがこの型に属する。(2)Ⅰb型 窒素500ppm以上を含み,それは炭素の原子と置換して入っている。天然産I型の0.1%の割合で存在する。人工ダイヤモンドのほとんどがこの型に属する。(3)Ⅱa型 窒素をほとんど含まず天然ではまれである。(4)Ⅱb型 Ⅱa型よりさらに窒素が少なく,ホウ素を含む。天然では非常に少ない。p型の半導体の性質をもつ。人工ダイヤモンドとして合成は可能。I型とII型の違いは赤外線および紫外線の吸収の違いにより容易に区別することができる。
100年ほど前まではダイヤモンドはすべて河床などの砂礫層より採掘されていた。これは原岩が浸食されて,二次的に堆積したものである。原岩は,いわゆるキンバーライトパイプといわれる周囲の地層を貫いて地上近くまで岩脈状に発達した岩石である。南アフリカでは,初め,地表のいわゆるイェロー・グラウンドと呼ばれる風化土壌中からダイヤモンドを採掘していたが,試しに,その下の基盤の岩石を掘って見つけたのが原岩の発見の始まりであった。
キンバーライトの組成は,パイプによって差はあるが,おもな鉱物はカンラン石であり,これは蛇紋石などに変わっている場合が多い。ほかにイルメナイト(チタン鉄鉱),輝石,ザクロ石,金雲母,ペロブスカイト(灰チタン石),磁鉄鉱,リン灰石などである。またニッケルが微量成分として含まれているのが特徴で,これは人工ダイヤモンド合成の際の重要な触媒である。天然のダイヤモンドがどうしてできるかは,まだ確かめられたわけではない。しかしキンバーライトのもとの岩石はいわゆる超塩基性岩であるカンラン岩,エクロジャイトと考えられており,その母体となったマグマは,地表から200kmほどの深さのマントル上部の物質である。そしてその中に含まれていたH2O,CO2,鉄,銅,ニッケルの硫化物などがダイヤモンドの生成に重要な役割を演じていると考えられている。
ダイヤモンド鉱床のほとんどは,楯状地といわれる古い地層からなる安定した大陸地塊に分布している。インドにおける採掘が最も古く,前800年ころから知られていた。ハイダラーバード近くのゴルコンダ,パンナ付近では現在も採掘されている。砂礫鉱床が多いが,パイプ型のものもある。ブラジルでは1725年ミナス・ジェライス州で河床礫から砂金とともに発見され,さらにバイア州でも1844年に発見され,ここでは黒色の細かい結晶の集合体であるカーボネードcarbonadoと呼ばれる不透明な黒ダイヤモンドを産し,宝石用としては価値はないが,硬くて靱(じん)性があるため,工業用として珍重されている。しかし乱掘のため,インドとともに現在ではその産出高はわずかである。南アでは1867年にオレンジ川で発見されているが,現在はキンバリーを中心に世界最大の産地である。ナミビアの海岸沿いの砂鉱床からは良質の宝石用ダイヤモンドを多産し,ソ連(現,ロシア)でもシベリアのヤクート地方(ミールヌイ)で1954年に発見されて,現在南アに匹敵する生産量に達している。ザイール(現,コンゴ民主共和国),アンゴラも大鉱床をもつが,工業用ダイヤモンドが大部分である。その他アメリカ,ベネズエラ,ガイアナ,オーストラリア,ボルネオで産出する。日本ではまだ産出の報告はない。特殊な例では隕石中に数例見つかっている。これは六方晶系のダイヤモンドで,ロンスダレイトlonsdaleiteと呼ばれ,地上に落下した際の衝撃により生成されたと考えられている。
イギリスの化学者テナントSmithson Tennant(1761-1815)は1797年,ダイヤモンドを酸素の封入された容器の中で燃やし,その後に炭酸ガスだけが残ったことを確かめ,ダイヤモンドが炭素からなることを明らかにした。それ以来,多くの人々が人工ダイヤモンドを作る夢を追い続けてきた。初期のダイヤモンド合成実験の一つであるハネーJ.B.Hannay(1855-1931)の人工ダイヤモンドの話は有名である。彼は当時有力であったダイヤモンドの有機物起源説に強く影響を受け,パラフィンのような有機物をアルカリ金属とともに密封して高温高圧にすると,水素と金属が反応して,パラフィンの炭素が分離され,この炭素がダイヤモンドとして結晶化すると考えて実験を行った。彼は銃身と同様の製法で頑丈に作られた鉄のチューブに,少量のリチウム,骨油10%,パラフィン90%を入れ,溶接で密封して,反射炉で数時間加熱した。このような実験を80回ほど繰り返し,そのうち3回,人工ダイヤモンドの合成に成功したといわれている。1880年にその結果は公表され,できたダイヤモンドは現在も大英博物館に保管されているが,これはその後多くの研究者の調べでどうやら天然産のものであるという結果が出ている。また同様の合成実験の追試も失敗に終わっている。もう一つの有名な実験はハネーの仕事から10年ほど後に公表されたフランスの化学者F.F.H.モアッサンのものである。彼は隕石中に発見されたダイヤモンドからヒントを得て,金属に溶かしこんだ炭素を急冷して,金属が収縮するとき発生する高圧によってダイヤモンドを結晶化させようと考えた。実験は,石墨の容器に鉄と炭素を入れて,電気炉で溶かし,これを水(後に溶けた鉛がよいことがわかる)で急冷する。この金属の塊を酸で溶かし,溶け残ったものの中にダイヤモンドが見つかったと公表した。これは現在残っておらず,またその後の何人かの追試も成功しなかった。しかし最近同様の実験によりできた結晶を調べた結果では,モアッサンの作った結晶は炭化ケイ素SiCかアルミナAl2O3であったらしいということである。両者はともにダイヤモンドに次いで硬い鉱物であり,またSiCはダイヤモンドと同様の結晶構造をしており,SiのかわりにCが入ればダイヤモンドになる。ダイヤモンドの合成の鍵は超高圧高温炉の開発にあった。P.W.ブリッジマンは数多くの高圧炉を開発し,多数の高圧実験を行ったが,ダイヤモンドの合成にはいたらなかった。しかしこの技術は受け継がれ,やがて人工ダイヤモンド合成の成功となる。
スウェーデンのASEA社は1953年,8万~9万気圧,最高2760℃の温度で径1mmほどのダイヤモンドの合成に成功したが,宝石用の品質にはほど遠かったためか,55年まで公表されなかった。アメリカのゼネラル・エレクトリック社は55年,同様の温度,圧力でニッケル,コバルトの触媒を用い,繰り返し合成できる方法で成功し,世界で初めての人工ダイヤモンドとして公表し,工業化のための特許を獲得した。
現在,人工的に量産されているダイヤモンドはすべて工業用に用いられている。細粒で結晶としての質もよくないが,研磨効率は天然のものよりもよく,安価である。また現在,宝石としての人工ダイヤモンドはまだ天然産のものよりずっと高価につくので量産されていないが,ゼネラル・エレクトリック社では,70年に宝石用良質ダイヤモンドを初めて研究室規模で合成した。炭素がダイヤモンド結晶になる道すじはいろいろあるが,現在成功している製造方法を炭素の相平衡図(図5)によって説明する。(1)ニッケル,鉄,コバルトなどの金属を触媒として炭素とともに高圧容器に入れ,数万気圧以上の加圧と2000℃前後の加熱により合成する。この条件は天然の多くのダイヤモンドの生成条件に近いと考えられる。(2)黒鉛(石墨)の結晶にさらに高圧,高温を加え,直接ダイヤモンドに転移させる。(3)火薬の爆発などのさらに高圧の衝撃波によって短時間に黒鉛からダイヤモンドへ転移させる。(2)(3)ともに,生成されたダイヤモンドは六方型である。(4)非平衡領域で気相から結晶化させる方法。常圧近くから10⁻8気圧という低い圧力のもとで,加熱したダイヤモンドをはじめとするいろいろの基盤の上にメタンガスや一酸化炭素を熱分解したり,ある場合には炭素イオンにして加速衝突させ結晶化させる。この領域は本来,黒鉛が安定でダイヤモンドは準安定領域である。この方法はダイヤモンドが微粒子や薄膜としてできるので,新しい用途が期待されている。
執筆者:西田 孝
ダイヤモンドは高硬度で耐摩耗性に優れた物質として,多くの産業分野で幅広く用いられている。量的に多いのは,超硬合金,セラミックス,ガラス,半導体結晶の加工に使われる研削砥石用である。研削やラッピングに用いるダイヤモンド砥粒のほとんどすべては人工ダイヤモンドである。これらのほかに,鉱山・土木用のビット,研削用ドレッサー,線引ダイス,アルミニウム合金などの非鉄金属やプラスチック切削用バイト,測定工具などがある。切削工具には,単結晶ダイヤモンドのほか,ダイヤモンド粉末を焼結したものも使われはじめた。熱伝導性のよさを利用して,LSIの放熱板に使うこともある。また,人工ダイヤモンドは次世代の半導体材料としても注目されている。
執筆者:今中 治
1913年5月10日,石山賢吉(1882-1964)が投資家や証券会社,金融機関などを対象に創刊した企業情報の月刊誌。16年11月から旬刊,56年3月3日号から週刊となり,誌名も《週刊ダイヤモンド》となった。現在はダイヤモンド社(1933設立)から刊行。石山は一貫して日本産業の振興という立場をとり,企業を中心とするミクロの経済情報をモットーとした。その伝統のもとにビジネスマンを対象に,企業分析と情報,経営,マーケティングに力を注ぎ,ビジネス誌としての性格を強調している。
執筆者:片岡 正巳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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金剛石ともいう.炭素の同素体の一つ.多少湾曲した面をもつ八面体の結晶として産出する.黒鉛からの合成は困難視されていたが,1954年,アメリカGE社で,Mn,Fe,Coなどの金属を触媒として高温,高圧(2000 ℃,10万atm)下での合成に成功した.工業用ダイヤモンドは炭素含有気体の熱分解によって得られる.1個の炭素原子の周囲を,4個の炭素原子が正四面体型に取り囲んで共有結合で結合している立方晶系ダイヤモンド構造の巨大分子.無色.ときには着色したものもある.ダイヤモンド光沢をもち,屈折率も高い.2.4173.研磨すると入射光が内面で全反射を起こし輝きが増すので,宝石として用いられる.硬さは現在知られている物質中では最高(モース硬度10,新モース硬度15).密度3.513 g cm-3.紫外線により強い蛍光を発するものもある.きわめて安定で,空気中では酸素トーチで加熱しても800 ℃ 以上でなければ燃焼しない.普通は電気の絶縁体(比抵抗 1013 Ω cm)であるが,p型半導体の特性を示すものもある.宝石として使用される以外に,研磨剤,ガラス切り,ボーリング用錐(きり),カッターなどの切削工具,特殊精密機械用ベアリング,針金製造用ダイスなどに用いられる.人工ダイヤモンドすべてと,天然ダイヤモンドの大半は工業用に使用される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…原子が共有結合によって非常に多数結合した分子。ダイヤモンドは炭素原子から成る巨大分子の代表で,1カラット(0.2g)のダイヤモンドは1021個の炭素原子が規則正しく結合してできた物質である。黒鉛C,水晶(二酸化ケイ素SiO2),炭化ケイ素SiC,窒化ホウ素BNもその構成原子が共有結合した巨大分子である。…
…一般に著しい蛇紋石化作用を受けている。ダイヤモンドの唯一の源岩(含有量は1000万分の1以下)であって,安定大陸地域にのみ,まれに小さな貫入岩体として産出する。マグマのうちでは最も深いところ(150~250km)で生成され,上部マントルと地殻を通過する時速は30~60kmと見積もられている。…
…〈堅固なるもの〉という意味であるが,普通には〈金剛石〉(ダイヤモンド)または〈金剛杵(こんごうしよ)〉を指す。サンスクリットのバジュラvajraの訳。…
…ナイジェリアの軍事介入はアフリカ統一機構に認められ,10月,ギニアのコナクリで近隣諸国外相による協議が開かれ,カバーの大統領復帰,RUFのサンコーの国政参加について合意がなされた。
[経済]
国の経済は,ダイヤモンド,ボーキサイト,鉄鉱石,金紅石(チタンの重要な原料鉱で,埋蔵量は世界最大)の採掘,カカオ,コーヒー,ヤシの栽培に依存しており,世界市場の不況ならびに農業生産(とくに食糧生産)の停滞に悩まされている。1人当りGNPは160ドル(1994)と推定され,1980‐91年に1人当りGNPは年1.6%低下している。…
…天然に産出する鉱物と同一の成分,構造,組織を,化学的・物理的手法で達成したものをいい,構造,組織が天然鉱物と同一で,成分,組成を異にする無機固体,あるいはさらに広く一般の無機固体も含める場合がある。合成鉱物synthetic mineralはほぼ同義に用いられるが,溶融再結晶化であるルビーやダイヤモンド製作は,厳密にいえば合成ではない。 鉱物,特に宝石,貴石の人工鉱物化はかなり古くから試みられたが,実質的に開始されたのは近代化学の勃興と軌を一にし19世紀からである。…
…周期表元素記号=C 原子番号=6原子量=12.011地殻中の存在度=200ppm(16位)安定核種存在比 12C=98.892%,13C=1.108%融点=3550℃(無定形),3550℃以上(ダイヤモンド,黒鉛)沸点=4827℃比重=1.8~2.1(無定形),3.15~3.53(ダイヤモンド),1.9~2.3(黒鉛)電子配置=[He]2s22p2 おもな酸化数=II,IV周期表第IVB族に属する炭素族元素の一つ。非金属元素としては硫黄とともに最も古く紀元前から知られている元素の一つである。…
※「ダイヤモンド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
太陽の表面にあるしみのように見える黒点で起きる爆発。黒点の磁場が変化することで周りのガスにエネルギーが伝わって起きるとされる。ガスは1千万度を超す高温になり、強力なエックス線や紫外線、電気を帯びた粒...
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