モローニ(読み)もろーに(英語表記)Giovanni Battista Moroni

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モローニ」の意味・わかりやすい解説

モローニ
Moroni, Giovanni Battista

[生]1525頃. アルビーノ
[没]1578.2.5. ベルガモ
イタリアのロンバルディア画家モレット・ダ・ブレシアに師事し,ベネチア派の影響も受けた。特に肖像画に優れた才能を発揮し,冷静で緻密な観察による性格描出が,厳しいリアリズムと金属的な彩賦法による堅固な技法に支えられ,この分野で多くの傑作を残した。今日モローニの作品は,ミラノはもとより,イギリスのロンドン,ドイツのベルリンドレスデンなどヨーロッパ各地にみられ,『アントニオ・ナバジェロの肖像』(1565,ブレラ絵画館),『仕立屋』(1571頃,ロンドン・ナショナル・ギャラリー)などが名高い。宗教画の作品も少なくないが,肖像画ほどの卓越性は認められない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モローニ」の意味・わかりやすい解説

モローニ
もろーに
Giovanni Battista Moroni
(1520ころ―1578)

イタリアの画家。北イタリアのベルガモ近郊のアルビーノで生まれ、ブレッシアで肖像画家として名高いモレットの弟子となる。初めはブレッシア、のちにはベルガモで制作にあたったが、その作品は宗教画と肖像画に大別できる。宗教画は当時の反宗教改革の精神に対する共感を示した、単純素朴な構成と写実的描写を特徴とし、あまり創造性のない作品が多い。それに対して肖像画には、ロンバルディアの風土に根ざす、日常的な現実感に息づく深みのある人間描写がみられ、優れた作品が少なくない。彼が16世紀北イタリアの代表的画家の一人とみなされるのは、こうした肖像画群によってで、それらは今日、北イタリアの諸美術館をはじめ、ロンドンやニューヨークの美術館に収められている。

[石鍋真澄]

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