北国船(読み)ホッコクブネ

デジタル大辞泉 「北国船」の意味・読み・例文・類語

ほっこく‐ぶね〔ホクコク‐〕【北国船】

中世末期から江戸中期にかけ、日本海海域で活躍した大型廻船平底船首がまるく、舷側垣立かきたつがない。順風でないときはかいで漕いだ。のち、帆走性能や経済性に優れる弁才船べざいせんにとってかわられた。どんぐり船北前船

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精選版 日本国語大辞典 「北国船」の意味・読み・例文・類語

ほっこく‐ぶね ホクコク‥【北国船】

〘名〙
① 北国地方の廻船の総称。〔日御崎神社文書‐三(1561)〕
北陸地方を中心に、中世末期から近世前期にかけて日本海海運の主力として活躍した独特の形式をもつ千石積前後の大形廻船。船首形状がまるく、船型がどんぐりに似ているところから、俗にどんぐり船という。重木(おもき)造りの堅牢船体構造船梁が少なく、舷側に垣立(かきたつ)を設けないのが特徴だが、帆走性能が悪く、順風時以外は多数の櫂(かい)で推進するために経済性に欠け、帆走専用の弁才船に圧倒されて、近世後期には地方的廻船に転落した。北前船。〔諸船名所并間尺之図(17C後)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北国船」の意味・わかりやすい解説

北国船
ほっこくぶね

(1) 江戸時代の東北・北陸地方の船全体をいう総称。 (2) 16世紀頃から 17世紀末期にかけて,北陸地方を中心にはがせ船とともに日本海海運の主力となって活躍した廻船のこと。大きさは 300石積みから 2000石積み級の大型船まであるが,特に 1000石積み以上の大型船向きの船とされ,主として秋田・青森地方の材木輸送に使われた。船型,構造ともはがせ船と共通する北国地方独特のもので,瀬戸内海方面の弁才船二成船 (ふたなりぶね) とは技術的にまったく相違していた。帆走性能が悪く,人力航行を併用するので多数の乗組員を必要とした。そのため帆走専用船化した弁才船の進出を許し,18世紀中期以後は需要がなくなり,海運界からまったく姿を消すにいたった。

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