弁才船(読み)ベザイセン

デジタル大辞泉 「弁才船」の意味・読み・例文・類語

べざい‐せん【弁才船/弁財船】

江戸時代内航海運で活躍した和船の形式。船底材の先に船首材、後ろに幅広戸立てをつけ、三段の外板などを組み合わせ、四角帆1枚を用いるもの。帆走性能がよく、少数乗組員で運航できるため、瀬戸内海を中心に発達して普及菱垣ひがき廻船たる廻船北前船などに用いられた。千石船。べざいぶね。べんざいせん。

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精選版 日本国語大辞典 「弁才船」の意味・読み・例文・類語

べんざい‐せん【弁才船・弁財船】

  1. 〘 名詞 〙べざいぶね(弁才船)
    1. [初出の実例]「例の如く辨財船(ベンザイセン)を仕立てて東蝦夷に向ひしに」(出典:雪紛々‐四九(1901)〈幸田露伴・<著者>堀内新泉〉)

べざい‐ぶね【弁才船・弁財船】

  1. 〘 名詞 〙 弁才造りの荷船。俗に千石船と呼ばれ、全国的に使用された。べんざい。べざい。
    1. [初出の実例]「才賀・弁才船は人数何程乗候とも三百石迄は小舟、三百石より上は大船へ入申様に被為仰付」(出典:年々仰出候諸書御定書写(1669))

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弁才船」の意味・わかりやすい解説

弁才船
べざいせん

江戸時代の海運主力として全国的に活躍した代表的な廻船の船型呼称。俗に千石船と呼ばれたのはこの形式で,弁才造りともいい,一本水押 (みよし。1本の長大な部材で構成された船首) ,三階造り,垣立 (かきだつ) ,艫 (とも) やぐら,外艫などに一見してそれとわかる特徴がある。瀬戸内海を中心に発達した典型的な内航用の船であったが,17世紀中頃から帆走専用船に脱皮し,1本マストの横帆船ながら帆走性能を向上させて経済性の高い商船になった。そのため海運の合理化を実現し,その技術は全国的に普及して 18世紀以後は廻船といえば弁才船をさすほどになり,さらに 1000石積み級の普及によって千石船の俗称を生んだ。菱垣廻船樽廻船,北前船などもすべてこの船型であり,使用目的に応じた細部相違があるにすぎない。明治以後も,その経済性の高さから西洋型帆船を押え,明治 30年代まで沿岸の物資輸送に使用され,やがて合の子船へと発展的解消をとげていった。

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