壊色(読み)エシキ

デジタル大辞泉 「壊色」の意味・読み・例文・類語

え‐しき〔ヱ‐〕【壊色】

《〈梵〉kaṣāyaの訳。袈裟けさ音写。「えじき」とも》僧の衣。青・黄・赤・白・黒の正色を避け、汚く濁った色を用いたのでいう。

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精選版 日本国語大辞典 「壊色」の意味・読み・例文・類語

え‐しき ヱ‥【壊色】

〘名〙 (kaṣāya の訳語。「えじき」とも) 仏語。正色を濁した色。僧の法衣である袈裟、三衣に用いる色。青、黄、赤の三原色と白、黒とを避け、通常、青、黒、木蘭の三色系統の濁った色をいうが、律典により多少の差がある。雑色
伝光録(1299‐1302頃)商那和修尊者「それ袈裟といふは梵語、此には壊色といひ、不生色といふ」 〔遺教経

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「壊色」の意味・わかりやすい解説

壊色
えじき

仏教修行僧の衣の色。サンスクリット語カシャーヤkaāya(袈裟(けさ))の漢訳で、原色を破壊した色を意味する。インドでは修行者の衣の色は、衣服に対する執着を捨てさせるために、華美な色(青、黄、赤、白、黒の5標準色と緋(ひ)、紫、緑、紅、硫黄(いおう)などの5中間色)は避け、原色を染壊した色を用いた。普通は柿渋(かきしぶ)色で、木、樹皮果汁などで染められる。中国、日本では通常は木蘭色(もくらんじき)(黄、紅、赤の雑色)の袈裟が用いられる。

[阿部慈園]

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世界大百科事典(旧版)内の壊色の言及

【袈裟】より

…もともとは色名で,壊色(えしき),濁色(じよくしよく)などと訳される。インドの仏教僧団で,不用になったり,捨てられた長短の布片を縫い合わせて,僧尼の着用すべきものとして制定された3種類の衣(三衣(さんえ))を袈裟と称した(図)。…

※「壊色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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