遺教経(読み)ユイキョウギョウ(英語表記)Wèi jiào jīng

デジタル大辞泉 「遺教経」の意味・読み・例文・類語

ゆいきょうぎょう〔ユイケウギヤウ〕【遺教経】

大乗経典梵本やチベット訳は現存しない。鳩摩羅什くまらじゅう訳。1巻。釈迦涅槃に入る前に最後の教えを垂れたことを内容とし、戒を守って五欲をつつしみ、じょうを修して悟りの智慧を得ることを説く。中国日本で普及し、特に禅門で重視される。仏垂般涅槃略説教誡経。仏遺教経。

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精選版 日本国語大辞典 「遺教経」の意味・読み・例文・類語

ゆいきょう‐ぎょう ユイケウギャウ【遺教経】

[1] (詳しくは「仏垂般涅槃略説教誡経」) 大乗仏教経典。一巻。後秦の鳩摩羅什(くまらじゅう)訳と伝える。梵本およびチベット訳を欠く。釈尊臨終に当たって、戒法を守り、早くさとりを開くべきことを説いた情景を描く経典。禅宗で、仏祖三経の一つとして尊重する。遺教。
親長卿記‐文明七年(1475)二月八日「千本釈迦堂遺教経始行云々」

いきょう‐ぎょう ヰケウギャウ【遺教経】

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改訂新版 世界大百科事典 「遺教経」の意味・わかりやすい解説

遺教経 (ゆいきょうぎょう)
Wèi jiào jīng

中国の漢訳仏典の一つ。クマーラジーバ(鳩摩羅什)訳。正しくは,《仏垂般涅槃略説教戒経》で,仏が入滅に際して,弟子たちに与える最後の言葉を集めたもの。内容は,持戒をすすめて,これがいっさいの徳行根本とするのが特色。早くインドで世親の《遺教経論》がつくられたほか,宋代に真宗が御注を加え,禅宗では《四十二章経》《潙山警策》と合わせて仏祖三経として尊重した。日本では,枕経として読誦される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「遺教経」の意味・わかりやすい解説

遺教経
ゆいきょうぎょう

鳩摩羅什 (くまらじゅう) 訳。1巻。サンスクリット原典,チベット語訳は欠本で,漢訳のみ現存。釈尊が入滅に際して,弟子たちに最後の説法をなした情景を描く経典。中国,日本で広く普及した。特に禅宗では仏祖三経の一つとして重視する。

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