年玉・歳贄(読み)としだま

精選版 日本国語大辞典 「年玉・歳贄」の意味・読み・例文・類語

とし‐だま【年玉・歳贄】

〘名〙 新年を祝ってする贈り物。江戸時代の町家では、貝杓子(かいじゃくし)鼠半紙、塗箸、粗製の扇など粗末な物を用いた。年玉物。年玉包み。→お年玉。《季・新年》 〔文明本節用集(室町中)〕
※高野山文書‐慶長一二年(1607)一二月一三日・諸寺諸社造営目録「四百八拾貫弐百卅二文 正月内衆の年玉よりはじめて諸職人の祝言折々御ふち」
※人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)二「毎年五月中旬より廓中の茶屋一同に、甘露梅を製して正月の年玉に用ゆ」
[語誌](1)年初に贈り物をする習慣は古くから存在し、宮中での正月の賜物に関する記述は多い。広く盛んになったのは室町時代で、太刀、金子、硯、酒等さまざまな品物が用いられた。特に男児のいる家には毬杖(ぎっちょう)(=毬を打つ道具)や振々(ぶりぶり)(=振々毬杖)、女児のいる家には羽子板や紅箱などを贈ったという。
(2)近世には、武士は太刀、商人は扇子、医者は丸薬、などと自分の作った物や家業と関係深いものを贈るようになった。その中でも扇子は広く用いられた。
(3)明治に入っても、手ぬぐい、略暦などが贈られた。ただ、対象が目下、特に子供に限られてきたようである。子供にこづかいをやる習慣は、一般的には近代以降のものである。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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