中国から渡来した打毬(だきゆう)が転化した遊び。毬打とも記し,〈きゅうじょう〉〈ぎちょう〉〈ぎっちょ〉〈たまうち〉〈だきゅう〉〈まりうち〉などともいった。平安末期の《年中行事絵巻》正月遊戯の条に毬杖の図が描かれているのをはじめ,古文献に記述は多く見られるが,遊事法について詳述した文献はほとんどない。1713年(正徳3)刊の《和漢三才図会》には,当時すでに本式の毬杖は下向の道をたどり,他方わらべ遊びとしての毬杖が行われていたことが記されている。《骨董集》(上編下之巻,1814)はその遊事法を次のように説明する。〈毬杖といへるは椎(つち)の形したる杖なり。玉といへるは,片木(へぎ)を平にけづりて玉のかたちにつくりたる物なり。打やうは,そのあいだおよそ十間,あるひは十二三間をへだて,そのなかばの地上にすぢをひきてかぎりとし,男児双方にわかれてかの玉を地上になげめぐらすを,一方より椎もてうちとむるなり。とめえずして,かぎりのすぢよりさきへ玉のめぐり越たるを,なげたる方の勝とし,打とむるかたの負とす。あるひはうちとめて,かぎりのすぢより玉をこさせざれば,とめたるかたの勝とし,玉を投げたるかたの負とす〉。明治以降も地方により〈はまなげ〉〈はんまなげ〉〈ぎっちょ〉などと呼ばれるこのたぐいの遊びが行われていた。
執筆者:半澤 敏郎
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…毬打とも記し,〈きゅうじょう〉〈ぎちょう〉〈ぎっちょ〉〈たまうち〉〈だきゅう〉〈まりうち〉などともいった。平安末期の《年中行事絵巻》正月遊戯の条に毬杖の図が描かれているのをはじめ,古文献に記述は多く見られるが,遊事法について詳述した文献はほとんどない。1713年(正徳3)刊の《和漢三才図会》には,当時すでに本式の毬杖は下向の道をたどり,他方わらべ遊びとしての毬杖が行われていたことが記されている。…
…毬打とも記し,〈きゅうじょう〉〈ぎちょう〉〈ぎっちょ〉〈たまうち〉〈だきゅう〉〈まりうち〉などともいった。平安末期の《年中行事絵巻》正月遊戯の条に毬杖の図が描かれているのをはじめ,古文献に記述は多く見られるが,遊事法について詳述した文献はほとんどない。1713年(正徳3)刊の《和漢三才図会》には,当時すでに本式の毬杖は下向の道をたどり,他方わらべ遊びとしての毬杖が行われていたことが記されている。…
…新ルールは土佐藩や八戸藩など地方でも行われ,明治維新後は宮内省主馬寮に受け継がれて今日に至る。平安宮中では打毬を徒歩で行うこともあり,さらに平安時代末には庶民の間に馬と毬門を用いないより簡略化した毬杖(ぎつちよう)が生み出された。【寒川 恒夫】。…
※「毬杖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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