毬杖(読み)ギッチョウ

デジタル大辞泉 「毬杖」の意味・読み・例文・類語

ぎっ‐ちょう〔‐チヤウ〕【××杖/×打】

昔、正月に木のまりを打って遊ぶのに用いた、長い柄のついたつち。また、その遊戯玉打ち。ぎちょう。きゅうじょう。 新年

きゅう‐じょう〔キウヂヤウ〕【××杖】

ぎっちょう(毬杖)

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精選版 日本国語大辞典 「毬杖」の意味・読み・例文・類語

ぎっ‐ちょう‥チャウ【毬杖・毬打】

  1. 〘 名詞 〙(まり)を打つ槌の形状の杖に、色糸を加えて飾った玩具。また、正月の遊戯などにこれを用いて木製の毬を打つ遊戯。ぎちょう。ぎっちょぶりぶり。《 季語・新年 》
    1. 毬杖〈年中行事絵巻〉
      毬杖〈年中行事絵巻〉
    2. [初出の実例]「大なる球丁(ギッチャウ)の玉をつくって」(出典:高野本平家(13C前)五)

きゅう‐じょうキウヂャウ【毬杖】

  1. 〘 名詞 〙(まり)を打つ競技に用いる杖。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. 毬杖〈徳川黎明会蔵〉
      毬杖〈徳川黎明会蔵〉
    2. [初出の実例]「おほいなるたまを、舎人どもの中に投げ出し給ふ。舎人どもきう丁を持ちて遊びて打ち」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)

ぎ‐ちょう‥チャウ【毬杖・毬打】

  1. 〘 名詞 〙ぎっちょう(毬杖)
    1. [初出の実例]「ひきはこえたる男児、〈略〉木のもとに立ちて、『我にぎちゃう切りて』など乞ふに」(出典:枕草子(10C終)一四四)
    2. 「Guichǒde(ギチャウデ) タマヲ ウツ」(出典:日葡辞書(1603‐04))

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改訂新版 世界大百科事典 「毬杖」の意味・わかりやすい解説

毬杖 (ぎっちょう)

中国から渡来した打毬(だきゆう)が転化した遊び。毬打とも記し,〈きゅうじょう〉〈ぎちょう〉〈ぎっちょ〉〈たまうち〉〈だきゅう〉〈まりうち〉などともいった。平安末期の《年中行事絵巻》正月遊戯の条に毬杖の図が描かれているのをはじめ,古文献に記述は多く見られるが,遊事法について詳述した文献はほとんどない。1713年(正徳3)刊の《和漢三才図会》には,当時すでに本式の毬杖は下向の道をたどり,他方わらべ遊びとしての毬杖が行われていたことが記されている。《骨董集》(上編下之巻,1814)はその遊事法を次のように説明する。〈毬杖といへるは椎(つち)の形したる杖なり。玉といへるは,片木(へぎ)を平にけづりて玉のかたちにつくりたる物なり。打やうは,そのあいだおよそ十間,あるひは十二三間をへだて,そのなかばの地上にすぢをひきてかぎりとし,男児双方にわかれてかの玉を地上になげめぐらすを,一方より椎もてうちとむるなり。とめえずして,かぎりのすぢよりさきへ玉のめぐり越たるを,なげたる方の勝とし,打とむるかたの負とす。あるひはうちとめて,かぎりのすぢより玉をこさせざれば,とめたるかたの勝とし,玉を投げたるかたの負とす〉。明治以降も地方により〈はまなげ〉〈はんまなげ〉〈ぎっちょ〉などと呼ばれるこのたぐいの遊びが行われていた。
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普及版 字通 「毬杖」の読み・字形・画数・意味

【毬杖】きゆうじよう(きうぢやう)

打毬の杖。また、儀仗に用いる。〔宋史、楽志十七〕女弟子そ一百五十三人、~十に曰く、打毬樂、四色の窄(さくしう)羅襦(らじゆ)を衣(き)、銀帶を(か)け、~簇(そうくわ)頭(ぼくとう)、毬杖を執る。

字通「毬」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「毬杖」の意味・わかりやすい解説

毬杖【ぎっちょう】

ホッケーによく似た日本の古い遊び。中国から伝わった打毬(だきゅう)から転じて子どもの遊びとなったもの。子どもの正月遊戯。〈きゅうじょう〉〈ぎちょう〉〈ぎっちょ〉〈たまうち〉〈だきゅう〉〈まりうち〉などともいった。断面が六角柱のヘッドのついたスティックで,木製円盤のボールを打ち合う遊び。江戸時代には正月男子の祝い物の専用玩具(がんぐ)として売り出され,人気があった。明治以降も〈はまなげ〉〈はんまなげ〉〈ぎっちょ〉などと呼ばれて,この種の遊びが行われていた。
→関連項目左義長

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「毬杖」の意味・わかりやすい解説

毬杖
ぎっちょう

正月の子供遊戯の一種。槌形の杖に色糸などを飾りつけ,これで木製の毬を打合い,早く中央の一線を越して相手陣に打込んだ者を勝ちとする。『骨董集』によると,京都では子供が生れて初めての正月には,母方の里から毬杖を贈るのを例とし,その毬杖は胡粉,丹,緑青などで彩ったという記録がある。

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世界大百科事典(旧版)内の毬杖の言及

【毬杖】より

…毬打とも記し,〈きゅうじょう〉〈ぎちょう〉〈ぎっちょ〉〈たまうち〉〈だきゅう〉〈まりうち〉などともいった。平安末期の《年中行事絵巻》正月遊戯の条に毬杖の図が描かれているのをはじめ,古文献に記述は多く見られるが,遊事法について詳述した文献はほとんどない。1713年(正徳3)刊の《和漢三才図会》には,当時すでに本式の毬杖は下向の道をたどり,他方わらべ遊びとしての毬杖が行われていたことが記されている。…

【毬杖】より

…毬打とも記し,〈きゅうじょう〉〈ぎちょう〉〈ぎっちょ〉〈たまうち〉〈だきゅう〉〈まりうち〉などともいった。平安末期の《年中行事絵巻》正月遊戯の条に毬杖の図が描かれているのをはじめ,古文献に記述は多く見られるが,遊事法について詳述した文献はほとんどない。1713年(正徳3)刊の《和漢三才図会》には,当時すでに本式の毬杖は下向の道をたどり,他方わらべ遊びとしての毬杖が行われていたことが記されている。…

【打毬】より

…新ルールは土佐藩や八戸藩など地方でも行われ,明治維新後は宮内省主馬寮に受け継がれて今日に至る。平安宮中では打毬を徒歩で行うこともあり,さらに平安時代末には庶民の間に馬と毬門を用いないより簡略化した毬杖(ぎつちよう)が生み出された。【寒川 恒夫】。…

※「毬杖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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