デジタル大辞泉
「波斯」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ペルシア【波斯】
(Persia)⸨ペルシャ⸩
[一] イランの旧自称。アケメネス朝発祥の地であるペルシス地方に由来。前七世紀末、メディア王国が建国され、アケメネス朝・アレキサンダー帝国・ササン朝の時代を経て、七世紀にアラブ人に征服され、イスラム化した。九世紀に、
サーマン朝が独立したが、のちにトルコ系諸王朝・イルハーン朝(イル汗国)・チムール帝国などの支配下にはいった。一六世紀の初め、サファビー朝が独立し、以後諸王朝が続いたがイギリス・ロシアによって半植民地化された。一九二五年、パフラビー(パーレビー)朝が興り、三五年、国号をイランと改めたが、七九年四月に
王制を廃止し、イスラム共和国として現在に至っている。
ハルシャ。〔外国事情書(1839)〕
[補注]中国の
正史「梁書」には「波斯」伝があり、日本にも「波斯」の表記が伝えられた。古い漢字表記例として「宇津保‐俊蔭」等に「
波斯国」が見えるが、これは「波斯」をそのまま「ハシ」と音読みしたと思われる。
近世にはハルシャと呼ばれた。
ハルシャ【波斯】
(Persia)
[1] 江戸時代の日本で、ペルシアの呼称。
※増補華夷通商考(1708)四「ハルシャ 百爾斉亜
(ハルシャ)婆羅遮国 日本より海上五千百里。
南天竺の西辺也」
はし【波斯】
中国の
六朝・隋・唐時代におけるササン朝ペルシアの呼称。のちにペルシア地方の
汎称。波斯国。〔管蠡秘言(1777)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
波斯 (はし)
Bō sī
6世紀ころから唐代までの中国におけるササン朝ペルシアに対する音訳名。波剌斯とも書く。ササン朝はイラン南西部のファールス地方より興ったが,波斯はこのファールスの古代ペルシア語形パールスPārsに由来する。後にはササン朝のみならず広くペルシア(イラン)を指すようになった。
執筆者:堀 直
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報