箱根細工(読み)ハコネザイク

デジタル大辞泉 「箱根細工」の意味・読み・例文・類語

はこね‐ざいく【箱根細工】

小田原箱根から産する木工細工。特に寄せ木細工で有名。

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精選版 日本国語大辞典 「箱根細工」の意味・読み・例文・類語

はこね‐ざいく【箱根細工】

〘名〙 箱根の温泉場付近で、みやげものとして作られている、寄木(よせぎ)細工などの木製細工物。湯本細工
※恋を恋する人(1907)〈国木田独歩〉一「右側の箱根細工(ハコネザイク)を売る店先に」

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改訂新版 世界大百科事典 「箱根細工」の意味・わかりやすい解説

箱根細工 (はこねざいく)

箱根・小田原地方の木工細工で,湯本細工ともいう。箱根山中の豊富な広葉樹を利用して,同地方は江戸時代から挽物木地細工の名産地であった。現在は寄木,象嵌,挽物,組木などを総称して箱根細工という。寄木細工は弘化年間(1844-48)にはじまるといい,色合いの異なる木地を寄せ合わせて幾何学的な単位模様をつくり,これをさらに集めてにかわづけした種木(たねき)を特殊な手がんなで削って〈づく〉とし,小箱などの表面装飾としたものである。模様の種類には市松,麻の葉,卍つなぎなどがある。象嵌細工は明治期に入り糸のこ機械を用いた挽込み象嵌に始まるもので,異なる色の2枚の板を重ねて図案を挽き回し,抜いた板を他の穴に嵌め込んでつくるもの。挽物は従来の伝統的技巧を生かして,とくに豆茶器,組み子などにつくる。組木は日本建築の桝組みからヒントを得たもので,一種の立体的パズルである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「箱根細工」の意味・わかりやすい解説

箱根細工
はこねざいく

箱根温泉場付近で土産(みやげ)品としてつくられている寄木(よせぎ)細工などの木製細工物をいう。19世紀の中ごろに木地師石川仁兵衛が考案したといわれている。色の違う原木を何枚も重ねて、膠(にかわ)で貼(は)り合わせてから鋸(のこぎり)で棒状に切り、その棒を縦に組み合わせて貼ったものである。1875年(明治8)箱根町畑宿(はたじゅく)の住人亀田長次郎が静岡に行き、寄木技術の単位模様から連続紋様にする技法挽割(ひきわり)寄木を修得し、いまでは箱根指物(さしもの)の表面加飾として量産化されている。

[秋山光男]


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世界大百科事典(旧版)内の箱根細工の言及

【箱根[町]】より

…保養所やキャンプ場,ゴルフ場,スケート場などレクリエーション施設も数多くあり,温泉供給事業といったユニークな公営事業も行われている。古くから湯治場みやげ,街道みやげとしてつくられてきた箱根細工がある。箱根登山鉄道のほか,国道1号,138号線,箱根新道・箱根ターンパイク,芦ノ湖スカイライン,乙女道路など交通手段も整備されている。…

※「箱根細工」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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