繰延(読み)くりのばす

精選版 日本国語大辞典 「繰延」の意味・読み・例文・類語

くり‐のば・す【繰延】

〘他サ五(四)〙
婦系図(1907)〈泉鏡花〉後「繰伸(クリノバ)した手紙片端を」
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石松本の話「何度も聞かされて、何度も決答を繰(ク)り延(ノ)ばした陳腐なものであった」

くり‐の・べる【繰延】

〘他バ下一〙 くりの・ぶ 〘他バ下二〙
① 綱など長いものを順々に延ばしてゆく。くりだす。くりのばす。
※海に生くる人々(1926)〈葉山嘉樹〉一五「綱は少し宛繰り延べられた」
予定日時期限を先へのばす。延期する。くりのばす。⇔繰り上げる
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉松本の話「千代子の結婚を無理に繰り上たり、繰り延べたりする訳にも行かない」

くり‐のべ【繰延】

〘名〙
① 期限や予定のある日時などを延ばすこと。
※一年有半(1901)〈中江兆民〉二「近日官の唱ふる所の事業繰延と云ひ、公債支弁の事業と云ひ」
総額年限、年割額などの定まっている継続費などの期限を延長して、割額を減少すること。
株式短期取引で受渡期日に決済しないで、取り決められた約束履行を一定期間延期すること。繰り越し。〔英和商業新辞彙(1904)〕

くり‐は・う ‥はふ【繰延】

〘他ハ下二〙 くりだしのばす。また、たぐってひきずる。
※延慶本平家(1309‐10)四「誠にしづのをだまきをくりはへて千尋百尋引はへたり」

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