国家の事業のうち,大規模かつ長期的でその完成に数年度を要するような施策についての経費は,予算においてその総額および年割額を定め,国会の議決を経たうえで,複数年度にわたって支出を行うことが可能である。このような経費を継続費という。明治憲法は継続費の制度を認めていたが,現行憲法には規定がなく,実際上の必要から1952年の財政法改正で規定が設けられた。国家の予算は,単年度ごとの支出を原則としており,毎会計年度ごとに区分して作成し,そのつど国会の議決を得ることを必要とする。しかしながら,公共事業等の長期にわたるようなプロジェクトの場合に,この原則をそのまま貫くことは,かえって事業の円滑な執行に支障を生ずるおそれがある。このため,予算の単年度主義に対する例外として,とくに必要な場合に限り継続費の制度が認められているのであるが,乱用を防ぐため,その年限については5ヵ年度以内という制限が付されている(財政法)。地方公共団体においても継続費の制度が認められている。なお〈繰越明許費〉の項を参照されたい。
→予算
執筆者:竹内 克伸
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国の歳出予算の経費のなかには、その完成に数年度を要するような工事、製造その他の事業にかかわるものがある。この種の経費についてとくに必要のある場合には、経費の総額および年割額を定め、あらかじめ国会の議決を経て、その議決するところに従い、数年度にわたって支出することができる。このような制度ないしその経費を継続費という。この継続費の制度は、会計年度独立の原則に対する大きな例外を形成する。すなわち、数年度にわたる経費の総額を一括して初年度において国会の議決を経ておけば、実施期間中の後年度において自動的に各年度の年割額までは支出権を与えられることになる。したがって継続費があまり大きくなると、将来の予算運営を圧迫するおそれがある。継続費として国が支出することのできる年限は、当該会計年度以降5か年度以内とされているが、翌年度以降において、国会の議決を経てさらにこの年限を延長することは可能である。また継続費成立後の会計年度の予算の審議において、国会がこの継続費について重ねて審議することを妨げないものとしている。継続費の年割額は、その年度の歳入歳出予算の一部を構成するのであるが、歳入歳出予算とは別に、乙号継続費として準備される。なお、地方公共団体についても、継続費の制度が認められている。
[林 正寿]
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