継続費(読み)ケイゾクヒ

デジタル大辞泉 「継続費」の意味・読み・例文・類語

けいぞく‐ひ【継続費】

数年度にわたって支出する国または地方公共団体経費完成に数年を要する事業について、初年度に経費の総額および年割額を定め、一括して議会議決を経るもの。

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精選版 日本国語大辞典 「継続費」の意味・読み・例文・類語

けいぞく‐ひ【継続費】

  1. 〘 名詞 〙年度にわたって支出する国の経費。また、その制度。完成に数年度を要する事業について、その経費の総額および年割額を国会の議決を経て、あらかじめ予算で定めることができる。地方公共団体の予算についてもこの制度が認められている。
    1. [初出の実例]「特別の須要に因り政府は予め年限を定め継続費として帝国議会の協賛を求むることを得」(出典:大日本帝国憲法(明治二二年)(1889)六八条)

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改訂新版 世界大百科事典 「継続費」の意味・わかりやすい解説

継続費 (けいぞくひ)

国家の事業のうち,大規模かつ長期的でその完成に数年度を要するような施策についての経費は,予算においてその総額および年割額を定め,国会の議決を経たうえで,複数年度にわたって支出を行うことが可能である。このような経費を継続費という。明治憲法は継続費の制度を認めていたが,現行憲法には規定がなく,実際上の必要から1952年の財政法改正で規定が設けられた。国家の予算は,単年度ごとの支出を原則としており,毎会計年度ごとに区分して作成し,そのつど国会の議決を得ることを必要とする。しかしながら,公共事業等の長期にわたるようなプロジェクトの場合に,この原則をそのまま貫くことは,かえって事業の円滑な執行に支障を生ずるおそれがある。このため,予算の単年度主義に対する例外として,とくに必要な場合に限り継続費の制度が認められているのであるが,乱用を防ぐため,その年限については5ヵ年度以内という制限が付されている(財政法)。地方公共団体においても継続費の制度が認められている。なお〈繰越明許費〉の項を参照されたい。
予算
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「継続費」の意味・わかりやすい解説

継続費
けいぞくひ

国の歳出予算の経費のなかには、その完成に数年度を要するような工事、製造その他の事業にかかわるものがある。この種の経費についてとくに必要のある場合には、経費の総額および年割額を定め、あらかじめ国会の議決を経て、その議決するところに従い、数年度にわたって支出することができる。このような制度ないしその経費を継続費という。この継続費の制度は、会計年度独立の原則に対する大きな例外を形成する。すなわち、数年度にわたる経費の総額を一括して初年度において国会の議決を経ておけば、実施期間中の後年度において自動的に各年度の年割額までは支出権を与えられることになる。したがって継続費があまり大きくなると、将来の予算運営を圧迫するおそれがある。継続費として国が支出することのできる年限は、当該会計年度以降5か年度以内とされているが、翌年度以降において、国会の議決を経てさらにこの年限を延長することは可能である。また継続費成立後の会計年度の予算の審議において、国会がこの継続費について重ねて審議することを妨げないものとしている。継続費の年割額は、その年度の歳入歳出予算の一部を構成するのであるが、歳入歳出予算とは別に、乙号継続費として準備される。なお、地方公共団体についても、継続費の制度が認められている。

[林 正寿]

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百科事典マイペディア 「継続費」の意味・わかりやすい解説

継続費【けいぞくひ】

数会計年度にわたる継続的支出をあらかじめ認められた国または地方公共団体の経費。予算は単年度が原則であるが,目的の達成に数年度を要するもの(公共事業費,軍事費など)は,経費総額と年割額を決め初年度に国会の承認を得ておき,以後の年度(5ヵ年以内が原則)には既定経費として支出できる。これは予算の前取りであり多額になると後年度の財政を拘束し,また財政の膨張を促進しやすい。→繰越明許費
→関連項目概算要求予算

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「継続費」の意味・わかりやすい解説

継続費
けいぞくひ

数年度にわたる事業につき,あらかじめ議会の議決を得ておき,変更を加える場合のほかは,会計年度ごとの議決を必要とせずに支出される経費。

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