デジタル大辞泉
「軽らか」の意味・読み・例文・類語
かろ‐らか【軽らか】
[形動][文][ナリ]
1 いかにも軽そうなさま。かろやか。かるらか。
「―に廊を歩みゆく人あり」〈鴎外訳・即興詩人〉
2 たやすいさま。手軽だ。かるらか。
「道のほども―にしなしたり」〈源・松風〉
3 軽率なさま。また、むぞうさなさま。かるらか。
「山賤の見る目も―なる御歩き、あるまじきことなり」〈夜の寝覚・二〉
4 身分が低いさま。かるらか。
「―なる御身ならねば」〈源・宿木〉
かる‐らか【軽らか】
[形動ナリ]「かろらか」に同じ。
「齢つもらず―なりしほどに」〈源・夕霧〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
かろ‐らか【軽らか】
① いかにも軽そうなさま。かろやか。かるらか。
※
源氏(1001‐14頃)若紫「若君をば、いとかろらかにかき抱きておろし給ふ」
② 手軽なさま。むぞうさなさま。かるらか。
※源氏(1001‐14頃)
夕顔「人の心を合せたらん事にてだにかろらかにえしもまぎれ給ふまじきを」
③ 軽率なさま。かるがるしいさま。かるらか。
※源氏(1001‐14頃)明石「さやうにかろらかに語らふわざをもすなれ」
※源氏(1001‐14頃)
常夏「御おぼえの程、いとかろらかなりや」
⑤ 態度、行動などが軽快なさま。
※即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉歌女「しかも軽(カロ)らかに優しき態度には」
[
語誌](1)
上代には例が見当たらず、中古になってから「かるらか」とともに使用されるようになった。「かるらか」はほぼ中古のみに使用が限られるが、「かろらか」は中世以降も細々と使用され、近世以降においても使用例が見られる。
(2)「かろらか」には、「直衣にてかろろかなる御よそひどもなれば」〔青表紙一本源氏‐
鈴虫〕のように、「かろろか」という形も見られる。他に例がないため、これを
誤写とする説もあるが、「お
ほらか」「おほろか」などと同様、先行母音への同化形である
可能性も考えられる。
かる‐らか【軽らか】
〘形動〙 (「らか」は接尾語)
① いかにも軽そうなさま。かろらか。
※
蜻蛉(974頃)下「をのこどもかるらかにてもたげたれば」
② 手軽なさま。むぞうさなさま。かろらか。
※浜松中納言(11C中)三「けうらなる若き尼二人清げにて、かるらかにしゃうぞきて」
③ 軽率なさま。軽々しいさま。かろらか。
※源氏(1001‐14頃)
朝顔「かるらかにおし立ちてなどは見え給はぬ御けしきを、心ぐるしう」
④ 身分、地位などが重々しくないさま。かろらか。
※源氏(1001‐14頃)
末摘花「かるらかならぬ人の御ほどを、心ぐるしとぞおぼしける」
[語誌]→「かろらか(軽━)」の語誌
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報