( 1 )②の挙例「桂宮丙本忠岑集」は「古今要覧稿‐五四九」に「弘賢按に琴の声はチンチロリンといふに似て水の音はリンリンとなくにかよふべければこのころの称呼は今諸国となふる所とひとしかるべし」と説くのに従って、現在の鈴虫に同じと解した。
( 2 )「鈴虫」と「松虫」の名は、いずれも中古の作品から現われるが、現在のように「リーン、リーン」と鳴くのを「鈴虫」、「チンチロリン」と鳴くのを「松虫」というように、鳴き声によって区別することができる文献は近世に入るまで見当たらない。そのうえ、近世の文献においても両者は混同されており、一概にどちらとも決め難い。しかし現在では、中古の作品に現われるものについては、「鈴虫」を「松虫」と、「松虫」を「鈴虫」と解するようになっている。→「まつむし(松虫)」の補注
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報