鈴虫(読み)スズムシ

デジタル大辞泉の解説

すず‐むし【鈴虫】


直翅(ちょくし)目スズムシ科の昆虫。中形で、暗い草むらにすむ。体は黒色で、触角や脚の根元は白色。雌は長い産卵管をもち、地中に卵を産む。雄は左右の広い前翅(まえばね)をすりあわせてリーンリーンと鳴く。本州以南にみられ、古くから鳴く虫として飼われる。 秋》「飼ひ置きし―死で庵淋し/子規
マツムシ古名
「忍びやかに歌ふ声―にまがひたり」〈篝火
源氏物語第38巻の巻名。光源氏、50歳。出家した女三の宮の持仏供養、六条院での鈴虫の宴などを描く。

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大辞林 第三版の解説

すずむし【鈴虫】

コオロギ科の昆虫。体長17ミリメートル 内外。黒褐色で扁平。触角の基半部、肢の基部は白色をおびる。触角は細長い。草むらにすみ、雄は前ばねを立てリーンリーンと鳴く。秋に鳴く虫として古くから飼われる。本州以南の日本と朝鮮半島・中国・台湾に分布。 [季] 秋。
マツムシの古名。 「げに声々の聞こえたるなかに、-のふり出でたる程、花やかにをかし/源氏 鈴虫
源氏物語の巻名。第三八帖。

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

鈴虫 (スズムシ)

学名:Homoeogryllus japonicus
動物。コオロギ科の昆虫

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

すず‐むし【鈴虫】

[1] 〘名〙
松虫の古称。
※枕(10C終)四三「虫は すずむし。ひぐらし。てふ。松虫」
② バッタ(直翅)目スズムシ科の昆虫。体長一・五~二センチメートル。体は卵形で扁平、全体に暗褐色または黒褐色で、触角や脚の一部などは白い。はねは雌雄で異なり、雄の上ばねは幅広いが雌では狭い。触角は糸状で、きわめて長い。低木のまじる草むらにすみ、雄はリーン、リーンと澄んだ美しい声で鳴く。秋に鳴く虫の一つとして珍重される。本州以南に分布。《季・秋》
※桂宮丙本忠岑集(10C前)「あるときには、野辺のすずむしを聞ては、滝の水の音にあらかはれ」
※和漢三才図会(1712)五三「金鐘虫(ススムシ)
③ 主君の側近くにはべり仕える人。侍従。おもとびと。
※嵯峨の通ひ(1269)「すずむしなる人を誘ひて〈略〉かの入道の山荘へ行きぬ」
④ (鈴口から殿様を迎えるところから) 正妻のこと。妾を轡虫(くつわむし)というのに対していう。
※雑俳・川柳評万句合‐天明四(1784)桜一「鈴むしをやめくつわむし御てうあひ」
[2] 「源氏物語」第三八帖の巻名。源氏五〇歳の夏から秋八月まで。入道した女三の宮の持仏供養、六条院での鈴虫を聞きながらの人々の音楽、冷泉院での詩歌の会、秋好中宮の出家の希望を源氏がいさめることなどが描かれる。
[補注](1)②の挙例「桂宮丙本忠岑集」は「古今要覧稿‐五四九」に「弘賢按に琴の声はチンチロリンといふに似て水の音はリンリンとなくにかよふべければこのころの称呼は今諸国となふる所とひとしかるべし」と説くのに従って、現在の鈴虫に同じと解した。
(2)「鈴虫」と「松虫」の名は、いずれも中古の作品から現われるが、現在のように「リーン、リーン」と鳴くのを「鈴虫」、「チンチロリン」と鳴くのを「松虫」というように、鳴き声によって区別することができる文献は近世に入るまで見当たらない。そのうえ、近世の文献においても両者は混同されており、一概にどちらとも決め難い。しかし現在では、中古の作品に現われるものについては、「鈴虫」を「松虫」と、「松虫」を「鈴虫」と解するようになっている。→「まつむし(松虫)」の補注

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