アイスボートともいう。風の力を利用して氷上でボートを滑走させるスポーツ。骨組みを十字に組み合わせ,左右に伸びた骨組みの両端にサイドランナー,前後に伸びた骨組みの前部または後部にステアリング(舵取り)ランナーをつける。ランナーは鋼鉄製の刃で,アイススケートの刃を大型にしたものと思えばよい。考案されたのは北欧で,16~17世紀のころといわれるが,今日見るようなものは,1768年にデンマークのチャプマンF.H.Chapmanが設計したのが初めである。その後,アメリカの北東部,カナダなどにも普及し,凍結した川,湖,湾などで行われている。スピードは風速のおよそ4倍までは出るといわれる。日本では,アイスヨットを走らせるのに十分なほど広く,かつ平らな氷面は得られず,ほとんど行われていない。
執筆者:薗田 碩哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
氷の上を風力によって帆走するヨット。氷との接面は鋼鉄製の橇(そり)で、水上ヨットの約4倍のスピードが出る。1768年オランダ人チャップマンの設計といわれるが、ほぼ時を同じくして、バルト海沿岸のリガ(ラトビア共和国の首都)、フィンランド湾でも行われていた。その後カナダ、アメリカ北東部の湾、川、湖などにも登場し、1928年にはヨーロッパ・アイスヨット連盟が結成された。瞬間最大スピードは、1938年アメリカのウィスコンシン州で時速230キロメートルが記録されている。なお、日本では1934年(昭和9)慶応大学ヨット部が試みたことがあるが、滑走に十分な氷面がないため普及するに至っていない。
[加藤博夫]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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