リガ(読み)りが(英語表記)Rga

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リガ」の意味・わかりやすい解説

リガ
りが
Rga

ラトビア語名リーガ。リガは英語名。バルト海東南岸に位置するバルト三国の一つラトビア共和国の首都。ダウガーバ(ロシア名西ドビナ)河口から9キロメートル上流に位置する。人口76万4328(2000)。同共和国全人口の約32%が集中し、経済、交通、文化の大中心地であり、最重要港をもつ。19世紀以来、各種機械工業、金属加工、軽工業に特色があり、とくに鉄道車両(客車)生産は、独立以前にはソ連全体の30%を占めていた。現在も電話機、冷蔵庫、オートバイ、ラジオ、家庭用洗濯機やディーゼルエンジンタービンの生産、化学工業、水産加工が盛んである。旧市街には、13世紀初めから建設されたロマネスク様式のドーム教会や14世紀のリガ城(現在、歴史博物館などがある)、スウェーデン門など、歴史的建造物が多く残されている。文化的中心地としても発展しており、1862年に設立されたリガ工科大学、1919年設立のラトビア大学をはじめとする多くの高等教育機関がある。博物館、国立劇場、修復されたオペラ劇場をはじめとする文化施設も充実している。19世紀後半に民族意識の覚醒(かくせい)がみられ、1873年に最初の歌謡祭が開催された。5年に一度の民族規模の歌謡祭は現在も続けられている。

[志摩園子]

歴史

町の建設はハンザ商人、北方十字軍の帯剣騎士団やドイツ騎士団などのドイツ人によって12世紀末に始まり、司教座も置かれた。独自の市長を選ぶ権利を獲得した13世紀の末にはハンザ同盟にも加わった。15世紀末はドイツ騎士団領の拠点であったが、1581年にポーランド領、1621年にスウェーデン領となり、自治権が認められた。1709年のポルタバの戦いによって、ロシアのピョートル大帝が同市を獲得した。以後、ロシア帝国内の主要な貿易港として発展を続けたが、その東西貿易を担ったのはドイツ人商人であった。1812年には、ナポレンオン軍によって占領された。19世紀後半には主要な産業が発展し、ロシア帝国内でもモスクワペテルブルグに次ぐ有数の工業都市となり、ロシア―バルト鉄道車両会社の設立をはじめ、多くの工場が操業し始めた。

 第一次世界大戦中は、赤軍とドイツ軍の争いの舞台となり、占領が繰り返され、ラトビア人ボリシェビキ政府とラトビア人民族主義者政府の成立を次々とみた。1918年3月のドイツとソ連間のブレスト・リトフスク条約で、リガはドイツ占領下となった。同年11月18日、民族主義者グループが中心となって市内の国立劇場で独立が宣言された。この独立の時代、首都となってさらに発展を続けたが、1940年にはソ連への編入を強いられ、独立を失った。第二次世界大戦中も、ソ連軍とドイツ軍の戦争の舞台となり、また、郊外に、ユダヤ人強制収容所もつくられた。第二次世界大戦後のソ連邦社会主義構成共和国時代も首都であり、1991年、ラトビアはソ連からの独立をふたたび果たした。

[志摩園子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リガ」の意味・わかりやすい解説

リガ
Riga

ラトビアの首都。バルト海のリガ湾に注ぐダウガバ (西ドビナ) 川の河口から約 15km上流にある港湾都市。右岸の旧市街を中心に発展,市域は左岸にも広がっている。 1201年記録に現れ,1282年ハンザ同盟に加わり,バルト海沿岸地方の重要な交易中心地となった。ドイツ騎士団の所領を経て,1581年ポーランド領,1621年スウェーデン領,1721年ロシア領と変遷。その後貿易で発展し,第1次世界大戦前にはモスクワ,サンクトペテルブルグに次ぐロシア第3の都市に成長。帝政ロシア崩壊後,1918年に独立したラトビアの首都となり,1940年ラトビアのソビエト連邦編入に伴ってラトビア=ソビエト社会主義共和国の首都となった。第2次世界大戦中はドイツ軍に占領され,大きな被害を受けた。 1991年ラトビア共和国の独立に伴って再び首都となった。ディーゼル機関,タービン,電気・電子機器,船舶,鉄道車両などを製造する工業都市で,製紙,織物,化学製品,ガラス,セメント,食品などの工業もある。 1997年世界遺産の文化遺産に登録された旧市街には 13世紀創建のドムスカヤ聖堂,14世紀の城など古い建築物が保存されている。ラトビア大学 (1919) をはじめ,工科,医科,音楽などの大学,博物館,劇場など文化施設も多い。モスクワ,サンクトペテルブルグ,リトアニアのビリニュスなどと幹線鉄道で結ばれ,空港もある。港は冬季結氷するが,砕氷船の出動で航行可能。西郊にはリガ湾沿いの保養地ユールマラがある。人口 70万107(2011)。

リガ

「カトリック連合」のページをご覧ください。

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