アイリングの式(その他表記)Eyring's equation

法則の辞典 「アイリングの式」の解説

アイリングの式【Eyring's equation】

(1) 絶対反応速度論において重要とされる公式の一つ.活性錯合体(activated complex)の濃度Cで表したとき,反応速度 R は次のような式で表現できる.

ここで kT/h は,古典論における結合の振動周波数に当たり,CT は活性錯合体から生成物が生じる確率である.

(2) アイリングは活性錯合体が次のような性質をもつと仮定して,反応速度の式を導いた.その仮定はすなわち,(1)活性錯合体は安定分子と同じように熱力学の諸法則が適応される,(2)活性錯合体は原系と平衡を保っている,というのである.すると,二分子素反応の速度定数 k は次のように表すことができる.

ここでFAFB は原系分子A,Bそれぞれ分配関数であり,F は活性錯体の分配関数のうちから,反応座標に沿った一次元の振動自由度のぶんを除いたもの,E0 は原系と活性錯合体との振動基底順位間のエネルギー差である.κ は透過係数と呼ばれる補正項で,実際の反応速度と,理論的に導かれる反応速度の比を表す.kBボルツマン定数*(普通なら k だが,反応速度定数 k と区別するためにここでは kB が用いられている)である.

アイリングの式【Eyring's equation】

音響学において残響時間を表す式の一つ.ノリス‐アイリングの残響公式*ともいう.残響時間を T [sec]は,境界の全面積を S [ft2],体積V [ft3]としたとき

で与えられる.ここで a1a2,…は面 S1S2,… それぞれの吸収係数である.残響時間を表す式にはこのほかミリントンの残響公式*,サビネの式(セイビンの残響式*)などがある.

アイリングの式【Eyring's viscosity formula】

定常流れの粘度 η は,ずれ応力fABC をそれぞれ定数としたとき,次の式で表現できる.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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