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音響学 おんきょうがくacoustics

翻訳|acoustics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

音響学
おんきょうがく
acoustics

物体の振動によるの発生,音の伝搬聴覚器官による音響感覚,音楽,騒音など音に関するあらゆる現象を扱う学問分野で,物理学工学心理学生理学など多くの分野にわたっている。音響学は遠く古代中国の三分損益法による十二律や古代ギリシアのピタゴラス平均律など音律のつくり方に起源をもつが,科学的研究は弦の振動を中心とした G.ガリレイ,M.メルセンヌらの音楽理論や音速の測定にその端緒がある。 19世紀にいたってレイリー卿や H.ヘルムホルツらにより音響学の基礎理論が完成した。音楽音響学は楽器,音律,聴取者に対する音楽の影響などを論じ,音響生理学や音響心理学は発音と聴音のメカニズム,音の生理的・心理的影響を論じるものである。音響工学にはマイクロホン,拡声器,録音・再生,音響測定,音響制御,電気的な音の発生 (電子音楽や声の人工合成など) などに関する電気音響学,室内における声や音の挙動の研究や居室・音楽ホールの設計などに関する建築音響学がある。可聴音域外の超音波の研究と工学的応用,地震波の研究もある。騒音の研究とその制御,音波を利用した物性の研究,情報理論に関係した言語の研究などは最近の重要な研究題目となっている。

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デジタル大辞泉の解説

おんきょう‐がく〔オンキヤウ‐〕【音響学】

音波や超音波の発生・伝播(でんぱ)・検出などの理論と応用を研究する物理学の部門。電気音響学・建築音響学・音響生理学など。

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百科事典マイペディアの解説

音響学【おんきょうがく】

音波とそれがひき起こす現象(音の感覚も含めて),それらに関連したさまざまな問題を扱う学問。音楽理論から始まり,19世紀にはレーリーヘルムホルツにより力学の一部門として体系化されたが,20世紀に入り電気による音響測定法,各種音響装置がめざましく発展し,音響学は電気音響学として従来の姿を一変した。

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世界大百科事典 第2版の解説

おんきょうがく【音響学 acoustics】

音の発生から伝搬に伴う各種の物理的現象,さらにそれが人間の聴覚器官に作用して音の感覚を生ずる現象まで,音に関するすべての問題を取り扱う学問。その範囲は非常に広く,物理学,工学,医学,生理学,心理学など多くの学問分野にわたっており,取り扱う対象によって物理音響,電気音響,建築音響,音楽音響,生理音響,心理音響,水中音響,超音波などに区分される。 音響学の起源は,ギリシア時代の前500年ごろのピタゴラスによる音楽理論にさかのぼるといわれている。

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大辞林 第三版の解説

おんきょうがく【音響学】

物理学の一部門。音の発生・伝播・性質・相互作用などに関する諸現象、また聴覚との関係など音に関する問題を研究対象とする学問。電気音響学・音響生理学・音響心理学など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

音響学
おんきょうがく
acoustics

音の発生、伝播(でんぱ)、検出などの基礎と応用について研究する学問分野。音響学の歴史はギリシア時代、ピタゴラスの音階についての数学的研究に始まる。しかし本格的な研究が開始されたのは17世紀に入ってからである。まずメルセンヌは弦の振動についての研究を行い、また空気中での音速を最初に測定した。一方、ニュートンは音速が媒質の性質によって決まり、

で与えられることを理論的に示した。同じころクラードニは板の二次元的な振動を調べ、クラードニ図形をみいだした。19世紀にはレイリーやヘルムホルツらの手により、古典音響学の数学的理論がほぼ完成した。他方、ヘルムホルツは聴覚の理論を発表し、生理音響学の分野を開いた。20世紀に入ってからの電気工学や電子工学の急速な進歩は、電気音響学という大きな分野を生み、いまでも現代音響学の中心的な存在となっている。そのほか建築音響学、水中音響学、心理音響学など、音響学は他の理工学の分野とも密接に関係しており、つねに発展を続けている。その二、三の例を簡単に紹介する。[比企能夫]

電気音響学

音の振動と電気信号をマイクロホン、スピーカーなどの変換装置により相互に変換し、電気・電子工学的な手段で音の増幅や伝達、記録や再生を行う方法について研究する分野。音が媒質中を直接到達する範囲はきわめて限られており、またすぐ消えてしまう。電気音響学はそれらの欠点を補い、われわれの生活を豊かにするばかりでなく、音についての基礎的な研究を行ううえでも有効な手段となっている。また、古くからの機械的な方法では不可能であった高い振動数の超音波の発生を可能としたのもその成果の一つで、これは基礎科学、工業、医学の方面でも広く応用されている。たとえば、超音波探傷法を用いた材料の欠陥の検出、人体に対する超音波診断、治療などは大きな応用分野である。[比企能夫]

生理音響学

聴覚および音声について研究する分野。聴覚についての研究は耳の解剖学的研究から始まり、その動的な機能が明らかにされている。それによると、鼓膜の振動としてとらえられた音は生理的な電気パルスに変換されて大脳へ伝達される。すなわち聴覚は高度の通信システムであると考えられる。
 音声は複雑な音波である。ヘルムホルツは母音に含まれる成分音の周波数の分布とその範囲について研究し、現在でも用いられるホルマントという概念を導入した。また最近のコンピュータの発達により、音声認識機能を備えた電話自動応答システムやカーナビゲーションなど、音声の判読や合成などの技術も日常的に実用化されている。[比企能夫]

現代物理学と音響学

音波の伝播についての古典的な理論では、音波を連続媒質中を伝播する微小振動の波として取り扱っているが、これだけでは十分ではない。たとえば音波の振幅が非常に大きくなると、重ね合せの原理が成立しなくなったり、自発的に複雑な周波数をもった音波が発生したりする。これを非線形振動という。また、媒質の非線形性がとくに強く、波動の振幅がとくに大きくなると、ソリトンといわれるエネルギーが空間的に集中した特殊な波動が生ずる。これらは現代物理学の重要な研究課題の一つである。他方、音波の伝播する媒質は実際には多くの原子、分子の集団であり、連続体ではない。このことから音波の波長は原子どうしの間隔より小さくはなりえない。すなわち音の振動数には上限があることになり、普通の固体の場合それは約10兆ヘルツである。現在このような高い振動数の音波を種々の手段で発生させようとする努力がなされている。一方、固体中の原子は熱振動しており、その振動数はこれに相当する高いものになっている。ミクロな観点からみると、その振動数には大きな差があるが、固体中の音波と熱は同じものであり、量子力学的には音響量子または音子(フォノン)という概念で表され、それのもつエネルギーはとびとびの値をもつ。音波を用いた固体などの物性の研究は近年盛んに行われており、この分野は物理音響学または音波物性学といわれる。[比企能夫]
『勝木保次編『感覚の生理学』(1967・医学書院) ▽電子通信学会編、西巻正郎著『電気音響振動学』(1978・コロナ社) ▽牧田康雄編『現代音響学』改訂2版(1986・オーム社) ▽M・E・ゴールドシュタイン著、今市憲作・辻本良信訳『流体音響学』(1991・共立出版) ▽E・ツヴィッカー著、山田由紀子訳『心理音響学』(1992・西村書店) ▽安藤由典著『新版 楽器の音響学』(1996・音楽之友社) ▽鎌倉友男著『非線形音響学の基礎』(1996・愛智出版) ▽C・キッテル著、宇野良清他訳『固体物理学入門』第7版(1998・丸善) ▽前川純一・森本政之・阪上公博著『建築・環境音響学』第2版(2000・共立出版) ▽吉川茂・藤田肇著『基礎音響学――振動・波動・音波』(2002・講談社) ▽チャールズ・E・スピークス著、荒井隆行・菅原勉監訳『音入門――聴覚・音声科学のための音響学』(2002・海文堂出版) ▽ハインリッヒ・クットルフ著、藤原恭司・日高孝之訳『室内音響学――建築の響きとその理論』(2003・市ヶ谷出版社) ▽安田仁彦著『機械音響学』(2004・コロナ社) ▽山下充康著『謎解き音響学』(2004・丸善)』

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