改訂新版 世界大百科事典 「アオマツムシ」の意味・わかりやすい解説
アオマツムシ
Calyptotrypus hibinonis
直翅目マツムシ科の昆虫。美しい鮮やかな緑色をした樹上にすむコオロギ。体型がマツムシに似ているのでこの名がある。体長15mm内外。1917年に東京で発見されて以来,神奈川,愛知,京都,山口,福岡などの,とくに大都会で見いだされていたが,一時はかなり減少した。70年代半ばころからまた少しずつ街路樹を中心に発生地が広がり,あっという間に群馬県から九州に至る地域で大発生を見た。おそらくこの虫は,明治年間に,卵の産み込まれた苗木によって外国から東京へ持ち込まれ定着した,いわゆる帰化動物の一つで,原産地は中国大陸の南部であろうと推定されている。成虫,幼虫とも広葉樹上を好み,年1化性で,幼虫は赤褐色からしだいに緑化していく。成虫は8~11月に現れ,よく飛翔する。雄の前翅の発音器は発達していて,夕方から夜間にかけリーリーとかん高い声で鳴く。サクラやモモなどの葉を食害し,また小枝の先に卵を産み付けるので,害虫ともされる。
執筆者:山崎 柄根
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報