アカガニ(英語表記)Gecarcoidea natalis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカガニ」の意味・わかりやすい解説

アカガニ
Gecarcoidea natalis

軟甲綱十脚目オカガニ科。甲幅 10cm以上になる陸生のカニで,一様に濃い朱赤色。インド洋東部の孤島,クリスマス島にのみ生息する(隣接のココスキーリング諸島にもかつて生息していた記録がある)。熱帯雨林の土中に巣穴を掘ってすんでいるが,晩秋になると産卵のために海岸を目指して移動する。その数は 1億2000万匹といわれ,赤い絨毯のようなカニの群れが 1週間以上にわたり人里を通って移動する。雄が先頭集団を形成し,海に近い場所に穴を掘って,後続の雌を待つ。交尾後,雌は卵が成熟するのを数週間待ち,大潮の夜,水際で幼生を放って森に戻る。数週間後には甲幅数mmの稚ガニが森を目指して歩く。この属のもう一種はその体色からムラサキオカガニ G. lalandii と呼ばれ,琉球列島,南西太平洋の島々に広く分布している。この属のカニは,左右の眼窩が接近している(額が狭い)ことで,ほかのオカガニ類(→オカガニ)とは容易に区別することができる。アカガニの名があまりにも単純であるため,クリスマスアカガニと呼ぶこともある。(→甲殻類十脚類節足動物軟甲類

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