改訂新版 世界大百科事典 「アガチス」の意味・わかりやすい解説
アガチス
dammar-pine
kauri(pine)
Agathis
ナンヨウスギ科の常緑高木で,葉はナギに似ているので,ナギモドキの名もある。直立する幹は円柱形で,高さ20~30mにもなり,大きな樹冠を広げてりっぱである。若い時期には幹の節から放射状に枝を出す。老木では幹の表面はあばた状に凸凹している。葉はらせん状につき厚い皮質,長卵形から広披針形で,平行脈を有している。雄花および雌花は通常は同一木につき,雄花は葉腋(ようえき)に生じる円柱状の穂状の花序に多数が密集する。雌花序は短枝に頂生し,球果は多くは円球形で,多数の木質の扇状をした鱗片の基部に,翼を有する種子を1個つつむ。球果は種子が熟すとばらばらに崩れる。マレーシアからオーストラリア,ニュージーランド,フィジーにかけて約20種ほどが知られ,マレーシア地域のA.alba(Ram.)Foxw.や,ニュージーランドのカウリマツA.australis(Lamb.)Salisb.はそれぞれ樹脂を採取することや,木材としても有名な種である。アガチスの樹脂は,マレーシア地域ではフタバガキ科樹木からの樹脂とともに,広く原地名でダマールの名で呼ばれ,燃料や塗料に利用される。この樹脂は別名マニラコーパルmanila copalとも呼ばれるので,アガチス属の樹木はコーパルノキともいわれる。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報