化学辞典 第2版 の解説
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂
アクリロニトリルブタジエンスチレンキョウジュウゴウジュシ
acrylonitrile-butadiene-styrene copolymer
ABS樹脂ともいう.アクリロニトリル(A),ブタジエン(B),スチレン(S)の3成分からなる耐衝撃性熱可塑性樹脂の総称.製造法は通常,Aを20~30%,Bを20~30%,Sを40~60% 用いて,BポリマーまたはSBポリマーにAとSをグラフト共重合させる方法,およびAB共重合体またはSB共重合体とAS共重合体をブレンドさせる方法などがある.この樹脂は強靭で,耐衝撃性と機械的性質にすぐれている.それは,AS共重合体の固い海のようなガラス相に柔らかいゴム状のBポリマーが島のように点在しているため,衝撃の際のエネルギーはBのゴム状粒子に吸収されるためとされている.そのため,ガラス相とゴムの間の相溶性がその性質を左右し,グラフト分枝の数,分子量,ゴムと樹脂の比率,ゴム部分のガラス転移温度などが重要な役割を演じている.とくに自動車部品,電気製品,住宅用部品,ケース類,PVC強化用に用いられている.唯一の欠点は耐候性に劣ることで,近年,その表面を金属めっきすることにより改善された.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報