スリランカ南西部にある山。標高2231m。シンハラ語ではサマナラSamanala山と呼ばれ,島の守り神の一人であるサマンSaman神の宿る山として,古くから信仰登山の対象であった。山頂には大きな足跡の刻まれた岩があり,仏教徒にはゴータマ・ブッダの仏足石(仏足跡,スリ・パーダ)として,ヒンドゥー教徒には踊るシバ神の足跡として,イスラム教徒には片足で立つアダムの足跡として,それぞれの宗教の聖地となっている。1978年に日本山妙法寺の仏塔が山腹に建立された。巡礼の季節は,雨の少ない1月から4月で,登山道は照明灯がつけられ,人々は山麓の渓流で身をきよめ夜に山登りをはじめ,日の出を山頂で待つ。東風が強いので,霧がスクリーンのようになって,日の出とともに三角形の山容を写す。時には〈ブロッケンの妖怪〉もみられる。マハベリMahaveli川をはじめ,大きな四つの川がこの山に源流をもっている。
執筆者:中村 尚司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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