アナスティグマート(読み)あなすてぃぐまーと(英語表記)Anastigmat

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アナスティグマート」の意味・わかりやすい解説

アナスティグマート
あなすてぃぐまーと
Anastigmat

非点収差、像面の曲がりの両収差について補正がしてあるレンズのこと。普通のレンズでは、光軸からずっと離れた点の像は、光軸に垂直な像平面上になくて曲面上にあり(像面の曲がり)、さらに物体の並んでいる方向によってはっきりした像の生ずる位置が異なり、二つの像面を生ずる(非点収差)。19世紀末までは非点収差、像面の曲がりを補正することは困難であった。ドイツイエナ新種ガラスが発見された結果、これらの収差を補正することができるようになった。アナスティグマートということばは、従来はこれらの収差を補正したよいレンズという意味合いをもっていたが、最近はとくにそれと断らなくても、これらの収差を補正することは常識となっている。

[三宅和夫]

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