アナスティグマート(その他表記)anastigmat

翻訳|anastigmat

改訂新版 世界大百科事典 「アナスティグマート」の意味・わかりやすい解説

アナスティグマート
anastigmat

写真レンズのように広い画角にわたって像が一様に鮮鋭であるためには,球面収差コマ収差除去されただけでは不十分で,さらに非点収差像面湾曲が十分に除かれている必要がある。球面収差とコマ収差が除かれた回転対称光学系アプラナートと呼ばれるが,色収差がなく,非点収差と像面湾曲の両収差の除去も十分に行われたアプラナートをアナスティグマートという。語源的には非点収差が除去されているの意である。この種のレンズは高屈折・低分散のいわゆるバリウムクラウンガラスの開発により,1880年代以降に作られるようになった。現代の良質な写真レンズはすべてアナスティグマートと考えてよい。
収差
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アナスティグマート」の意味・わかりやすい解説

アナスティグマート
あなすてぃぐまーと
Anastigmat

非点収差、像面の曲がりの両収差について補正がしてあるレンズのこと。普通のレンズでは、光軸からずっと離れた点の像は、光軸に垂直な像平面上になくて曲面上にあり(像面の曲がり)、さらに物体の並んでいる方向によってはっきりした像の生ずる位置が異なり、二つの像面を生ずる(非点収差)。19世紀末までは非点収差、像面の曲がりを補正することは困難であった。ドイツイエナ新種のガラスが発見された結果、これらの収差を補正することができるようになった。アナスティグマートということばは、従来はこれらの収差を補正したよいレンズという意味合いをもっていたが、最近はとくにそれと断らなくても、これらの収差を補正することは常識となっている。

[三宅和夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のアナスティグマートの言及

【レンズ】より

…共軸球面系にあっては,光軸のまわりの対称性から,収差は球面収差,コマ収差,非点収差,像面の湾曲および歪曲の五つに分類できる。球面収差とコマ収差を実用上十分に補正したレンズをアプラナート,さらに非点収差,像面湾曲を含めた四つの収差を実用上十分に補正したレンズをアナスティグマートという。 有限の直径をもった単レンズには収差が必ず残存する。…

※「アナスティグマート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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